表紙の「方舟」の文字、半分水に浸かりゆらいで見えるようなデザインからよくできていると思った。


読む前はなんとも思わなかったのが、読み終えた後に再度見ると、登場人物たちの恐怖、不安、憎悪、葛藤などがそれだけで感じとれるような。


一週間の期限のうちに脱出しないと水没。


カナヅチの自分には、恐ろしすぎる状況。


しかも、一気に来るのではなく、ヒタヒタと少しずつ水量が増えてくるなど、正気ではいられない。


生贄を一人残せば、助かるらしいのだけれど、誰がなるべきか…


そこで起こる殺人事件。

「そうだ!犯人を生贄にしよう!」


皆、生き残るために必死。

自分は犯人ではないとわかっている人ほど必死に生贄を炙り出そうとする。


読み終わって、とにかく息苦しさを感じた。

最後の悲鳴が痛々しすぎて、目を背けたくなった。


選択を誤ったあの人の後悔を思うと…


やりきれない。