実在する建造物らしい、表紙のピラミッドのようなマンションの写真が目を引く。
まるで作中の「街」をイメージしているかのよう。
あの事件の前年に出版されたものだけれど、ここ数年特に話題になることも多い「新興宗教」「二世問題」をテーマにしたお話。
何かを一心不乱に信じる人も、それ以外の人も結局、お互いに相手の信仰するものは「邪教」となってしまうのだろうか。
自分が誰かにそう思われているとしたら、なんだか穏やかではない気分になる。
救出劇の記憶、一見健全に見えて、どこか歪な感じのする集団生活、彼らの壮大な企みからの驚愕の真実。
ラストにタイトルの意味が明らかになる。
「邪教の子」とはこのことだった?!
自分が本人だとしたら、呆然を通り越してやりきれないだろうなと想像する。