スティーブン・キングの短編小説が原作のホラー作品『ブギーマン』をDisney+で鑑賞。日本での劇場公開は2023年8月。

母親を亡くした姉妹が得体の知れない怪物に襲われた。はたしてそれはいったい何なのか……というストーリー。

もう単純に怖かった。母親（妻）を亡くすという悲劇が姉妹と父親のトラウマになっている点がキモ。モンスターは想像の産物なのか，それとも本当に存在するものなのか。最初は暗闇に潜む“何か”が実在するのかどうかか疑わしく，「いるのかいないのかが分からない」という不安定な状態が恐怖をほどよく煽っている。暗闇に何かがいるという，子どもなら誰もが抱いたことがあるであろう原初的な恐怖の描写も秀逸だ。

結局，ブギーマンと呼ばれた怪物が何なのかは分からずじまい。しかし，打ちひしがれて無防備になった人のもとに暗闇とともにやって来るという設定は，いかにもキングらしくて良い。物語の中ではブギーマンの存在はリアルだが，同時にある種の象徴というかメタファーにもなっていて，その怪物を倒すことでトラウマを払拭できるのだというメッセージを発しているようにも見える。本作はホラーだが，愛する者を失って悲嘆にくれる人をそっと勇気づけて後押ししてくれるヒューマン・ドラマという側面もあるのかもしれない。

ブギーマン

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映画鑑賞文／『ブギーマン』 キング流ホラー＋家族愛

映画鑑賞文／『ブギーマン』　キング流ホラー＋家族愛