籘真千歳著『スワロウテイル序章／人工処女受胎』（ハヤカワ文庫，2012年）を読了。

サブタイトルに眉をひそめる向きもあるかもしれないが，れっきとしたSF小説である。本作は，男女別に隔てられた人工島で性別の違う人間と暮らす人工妖精・揚羽を主人公に据えたアンソロジーで，中篇が3篇収録されている。ちなみに人工妖精というのは，知能を有した限りなく人間に近い人工生命体のことである。『スワロウテイル』はこれまでに4作刊行されており，本作は3作目に当たる。

シリーズの中では最も重たくてシリアスな内容だと思う。深層心理学や認知心理学の色合いが濃くて読み応えがある。表紙の可愛らしいイラストと「人工処女受胎」というタイトルとはかけ離れた内容だというのが正直な感想だ（表紙もタイトルもいらぬ誤解と偏見を招きかねず，余計なお世話だと思うがもったいない……）。

本書が発行されたのは今から11年も前になるが，ChatGPTがにわかに注目され始め，AIが急激に身近に感じられるようになりつつある今だからこそ読まれるべき小説であると思う。

スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの (ハヤカワ文庫JA)

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124〜4,909円

読書感想文／『スワロウテイル序章人工処女受胎』－AIが身近になった今こそ読むべき作品