3、私たちは何に対応しなければならないのか


薬を承認する手続きを定めた薬事法は、感染症との戦いを前提に作られている。つまり、原因とメカニズムを特定しこれを排除する効果のある物質を探す。それが人間にとって安全で、多くの患者に一定の効果があることを確認する。その方法を体系化したのが、レギュラトリ・サイエンスである。世界の薬事法も基本的にこの発想の上に成り立っている。


しかし、効果的な治療薬が見つからず、医療費を押し上げる原因となっている生活習慣病と老化型の疾患は、病気の原因が必ずしも体の外からくるのではない。しかもその原因は一つとは限らず、複数の要因が絡み合っている場合も少なくない。


要するに、従来の治療薬の審査方法は、生活習慣病や老化型の疾患に効果的な治療薬を見つけることには適さない。


マルチ・ファクター型のレギュラトリ・サイエンスを確立することが必要。