(1)1950年から1970年のアメリカ


アメリカ産業は、1950年から1970年の間に、イノベーションを起こして多くの新しい商品を開発し、アメリカ経済社会を繁栄させた。


GMのアルフレッド・スローンJrは社員に創造力を発揮させてイノベーションを起こす為にピーター・ドラッカーをコンサルタントとして起用し、新しい企業経営組織を作り上げた。

「技術進歩が雇用の機会を増大し、賃金を高める一つの望ましい方向である。今日において、熱心な、野心的な若者は、より重要な責任を担う事に挑戦している。

成長すること、大きくなること、そしてそれに挑戦し続ける事、それが企業の健全な発展に欠くことのできぬものであると、私は信じている。」とスローンは『ホワイトカラーの冒険』のなかで述べている。


当時の優れたアメリカのビジネスリーダー達「従業員を大切にすれば競争優位に立てる。」


アメリカの時給は1947年から1973年にかけて倍増している。


アメリカ企業は地域社会に色々な形で貢献した。まさに「アメリカン・ドリーム」


ルイス・パウエルの「パイエル・メモ」

1981年に実行したのがロナルド・レーガン。

シカゴ大学のミルトン・フリードマンの「新自由主義理論」に基づきアメリカを「グローバル化」していった。

ミルトン・フリードマンは「株主利益の最大化以外の社会的責任をビジネスリーダーが引き受けるのは、自由社会の土台を根底から揺るがす現象に他ならない」と産業界に檄を飛ばした。


企業のロビー活動より、アメリカ議会はカーター大統領の「消費者保護庁設立」法案を潰した。

1978年連邦議会は、色々の法案の中に「401k」(確定拠出型年金)といなんだか分からない法案を加えて可決させた。

これも企業の利益団体が強引に押し付けたものである。

「401k」では、企業には月々の支払いが無くなった。

つまり、企業が退職後の蓄えの用意も、資金を長期にわたって安定的に運用していたことを、従業員自身がやらなくてはならなくなった。

これで「アメリカの年金制度」は脆弱化した。


「チェーンソー・アル」と呼ばれた資産家アル・ダンロップは、色々な企業に乗り込んで、「コスト・カット」した。

スコット・ペーパー社では従業員一万千人の首切りをし、多くのシニアマネージャー解雇。更に研究開発費を大幅に減らし、慈善事業への寄付を止めた。

そして競合相手に高く売り、自身もストック・オプションで大儲けした。

こうした「コスト・カット」がアメリカ産業界で広く行われた。

この動きを世間は「ニューエコノミー」とよんだ。

そして、アメリカはイノベーションが出来なくなり、技術力、国際競争力が衰退していった。


世界で一番賃金の安いところでモノを作ることが正義となり、「底辺への死闘」を展開させた。


投資家・株主以外は、誰も儲からなくなってしまった。

中間層が消えた。


中国の経済

習近平の理不尽なゼロコロナ政策で都市のロックダウンでいろいろ事故が起こり、中国経済は縮小した。

そのため、中国の民衆は習近平に退陣を求めた「白紙」運動が中国全土で広まっている。

習近平は、その民衆の暴動を抑えつけるのに民兵を組織化している。

つまり、民衆が民衆を抑えつける仕組みを作っている。

これはかつての「文化大革命と紅衛兵」である。


トマ・ピケティの見方

トマ・ピケティは『21世紀の資本』に次いで最近『資本とイデオロギー』という書を出した。

ピケティは前書で、「資産における利益は労働による所得よりも常に大きい』事を世界各国の膨大なデータをもとに結論づけた。

つまり金融資本が世界の富を奪っているというのである。

所得の格差・資産の格差が拡大した。


この格差の変化は「経済的な自然現象」ではなく社会の人為的な動きよりもたらされたモノであるとピケティは『資本とイデオロギー』で指摘している。


ウォール街

金を持っている有料顧客に金を貸すのを「プライム・ローン」と呼び、優良顧客以下の貧困層に金を貸すのを「サブプライム・ローン」という。

こういう金のない人には、銀行業務としては当然「高い金利」を課す事になる。

この住宅用の資金借り入れ契約をするときに金利が高いと借り手は拒否するので、頭金ゼロのローン「ティーザー金利」(初年度のみが低金利で、次の年から金利は高くなる)と「連続借り換え可能」、「住宅担保ローン」という形にして騙して、ブローカーは契約させた。

ほとんどの契約者は①ティーザー金利②連続借り換え③住宅担保ローンなどの内容を十分理解していなかった。


多くの人は自己破産し、自殺した。家族もバラバラになった。


銀行は住宅を買える所得のない人に金を貸し付け家を買わせたが、初めから銀行はサブプライムで貸し付けた金は「不良債権」になると思っており、このサブプライムローン契約書を「証券」にして、他の金融証券の中に潜り込ませて、分からないようにして、ウォール街に売った。

ウォール街はこれを全世界に販売した。

つまり多くのババ(不良債権)の入っているものを一般大衆に売りつけたのである。

これが2008年のリーマンショックになった。


アメリカ国民貧困化


アメリカの57%の人は十分な職を食べて居ない。

アメリカの40%の人は電気料を払えないでいる。


不法移民・難民を招き入れる


不法移民や難民が南米やアフリカからやってくるには金がかかる。

誰かがその金を出している。


アメリカの選挙制度は壊れている


政治資金「501c」と「スーパーパック」という法律


ウォール街や多国籍企業、軍産複合体はワシントン(政治家)に政治献金する。

その中で「匿名資金」といものがあり、政治を動かそうとするものは匿名で政治資金を提供する。

政治家を卒業したものは政治資金のコンサルタントとして活躍する。

政治資金をするものと動かしたい政治家を結ぶ役をする。

つまり、匿名でアメリカの政治家を思い通りに動かすことができる。


日本が独立国家として発展するには


アメリカ一極体制は終わり、これから世界は「国民国家主義」になり、比較優位生産による国際分業の世界になる。

アダム・スミスやデビッド・リカードが描いた世界経済である。


アメリカが核兵器を開発し、そして原子爆弾を日本に投下してから、この世界では、核兵器を持つことが「独立国家の要件」になってしまった。

核を持たない国は国際社会では発言権を持てない。


その上で、日本が独立として、経済拡大をするには、1970年代にやったような「イノベーションによる新産業」の開発に力を入れなければならない。・

この開発を日本の有能な若い世代に任せる必要がある。これまでいた政府にまとわりつく「利権屋」、「外国の手引き屋」を徹底的に排除しなければならない。