20代の頃、とんでもない人がいた。

 

その人と焼き肉を食べた時のこと。食べ放題のお店であったが、今回は私が出すことになっていた。

 

食べ放題の店なのに、何故か私が食べようとしたら、手をパシンと叩いて「俺の肉に手をつけるな」と言わんばかりの態度。

 

顔も物凄く不細工な人であるが、性格も不細工だと感じた。

 

しかも、食べ放題だから注文しても問題ないのに、そこも許容できない。自分は1円も金を出すことはないのに、そういう姿勢であった。彼に何か借りがあったわけではないのだが、本当に厚かましい人であった。

 

しかし、手をパシンと叩いて、自分だけ肉を食おうとしたのには訳があった。

 

肉を5枚ぐらい箸で掬い取って、一気に食いたかったらしい。そんなこんなを繰り返して、欲張ってお腹がすぐにいっぱいになり、残りかすを「どうぞ」。食べ終わった後は、携帯をいじり、話をしない。

 

ああ、と思ったが、その後もしばらくはいろんな交流があった。

 

大きな椅子を私の部屋に置いて、それで半年以上も平気だった。他人の結婚式には1万円しか持っていかないらしい。

 

不機嫌に仕事をしており、とても幸せそうには見えなかった。

 

性悪だが、自分では理解していないため、救いがない。

 

自覚のないところに

 

救いはない。

 

ここに初めて、「哀れ」という感情が浮かぶ。

 

ちなみに、彼は待ち合わせに1時間以上遅れたあげく、自分のせいで遅れたわけではないから私に謝らず、焼き肉屋へ行き、あれこれ食べた後、金を出してもらい、そのころは実家暮らしだった彼は、彼の親に私の分もおごらされたから金をくれと言ったらしい。

 

書いていて思ったが、異常者だと思う。

 

異常者ではあるが、知的障害の人には差別的な言動をしていた。

 

彼が不細工であることが唯一の救いである。