東京交響楽団第635回定期演奏会
2015年11月22日(日) 14:00 開演 @ サントリーホール


リゲティ: ポエム・サンフォニック~100台のメトロノームのための
J.S.バッハ: 甘き死よ来たれ BWV478(ストコフスキー編)
R.シュトラウス: ブルレスケ ニ短調

(ピアノアンコール)

ショパン:ワルツ3番
ショスタコーヴィチ: 交響曲第15番 イ長調 op.141


ピアノ:エマニュエル・アックス
指揮 :ジョナサン・ノット
東京交響楽団

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今日の午後は東響 の定期演奏会。事前の案内には不思議な

記述がありました。

「舞台上に並んだメトロノームが観客が入場する「開場時」から

動いており、その後、開演時刻までの間に指揮者のノット、オケが

登場。最後の一台が鳴り終わるとともに、バッハの曲の演奏が

始まる。」

1時55分頃に席に着きましたが、最後のメトロノームが止まったのが

2時8分頃。ノットもオケも登場したままじっとメトロノームが

止まるのを待ち続けていました(-_-;) 永遠にとまらないのでは

とチョット心配になりました。リゲティが作るとこれが音楽として

通用するのは面白く感じました。リゲティが終わり静かに始まった

ストコフスキー編曲のバッハ。違和感無く弦楽器で開始され

ました。冒頭から今日のオケの好調さを感じさせる心のこもった

バッハでした。バッハとブルレスケの間も拍手は無しで演奏

されました。目をつぶってバッハに聴き入っていたのでアックスの

登場に気づかぬままブルレスケが始まりました。ヨー・ヨー・マや

パールマンとの協演でなじみのあるアックスですが生演奏は

初めて。大人の風格のある肩の力の抜けた自然な演奏は

ワンやオットに比べて成熟した音楽を聞かせてくれました。

ノット、東響 も完璧な演奏でアックスを盛り上げていました。

ティンパニの大活躍も期待通り。めったに聴く機会のない

ブルレスケを最高の形で聴く事ができました。

アンコールはショパンのワルツ3番。優しい音色がなんとも

いえなかったです。アックスがこれほど魅力的なピアニストだと

言うことを今頃知った次第。


後半は、ショスタコの交響曲15番。ショスタコーヴィチがこの世を

後にする4年前に作曲された最後の交響曲は、ムラヴィンスキーや

いろいろなCDで聴きましたが、パロディや引用が多く訳のわからない

曲と言うのが今日聴くまでの正直な感想でした。そして弦楽器

セクションが小さ目の編成と勝手に思い込んでいたのですが

予想に反してフル編成の弦楽器セクションでした。

そして今日の演奏でこの曲の魅力を知ることになりました。

約45分間を一瞬の気の緩みも無く演奏したノットと東響 は

本当に素晴らしかったです。随所で活躍する独奏楽器が

完璧でした。特に2楽章のチェロのモノローグには心打たれました。


今日の東響 のレベルは外来オケにも負けていないと思いました。

ノットの東響 とパーヴォ・ヤルヴィのN響が外れの無い国内オケの

演奏会と言う気がしています。演目にひねりが効いているのは

東響 と言う気がします。


今日の休憩後の場内アナウンスは「演奏終了後の静寂も

演奏家にとっては演奏の内なので指揮棒を下ろすまで

拍手をするな」と言う趣旨の明確なメッセージでした。

「余韻を楽しめ」など訳のわからないメッセージ

より遥かに良いと思います。