2015年3月4日(水) 19:00 開演 @ サントリーホール


シベリウス: 「トゥオネラの白鳥」
    (『レンミンカイネン組曲』 op.22から第2曲)
ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77

(アンコール)バッハ:パルティータ第3番~ジーグ

 
シベリウス: 交響曲第5番 変ホ長調 op.82

(アンコール)シベリウス:悲しきワルツ

指揮    :エサ=ペッカ・サロネン
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
フィルハーモニア管弦楽団

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指揮棒無しで登場したサロネンのいつ始まったか
判らないような動きで始まった「トゥオネラの白鳥」。
低弦から次第にヴァイオリンに移行する霧の中から
フワーッとイングリッシュ・ホルンのモノ悲しい旋律が
浮き出てくるとすっかり曲の中に身を浸した気分に
なりました。曲の盛り上がりと共にこちらの気持ちも
高揚し最後にチェロで静かに演奏が終わってもしばらく
身動きが出来ない程、無意識のうちに自然に集中力が
高まったトゥオネラでした。


続くブラームスで登場したヒラリー・ハーン。
数年前ぶりに見る彼女は以前に比べてだいぶ
ふくよかな容姿でした。相変わらず完璧な右手の
ボウイングから奏でられる音色は以前より太く、
力強くそして艶っぽく聴こえました。この人の

ボウイングを見ているとまさにサイボーグ(失礼)


早めのテンポでオケに対して挑戦的に弾き始められました。
以前より太い音色がブラームスにピッタリ。オケを眺め
ながら自在に動くテンポ。気が付くと食い入るように
彼女の演奏に聴き入っていました。ティンパニ
奏者も休符部分で自然に身体がスウィングしているのが
見える乗りの良いブラームスでした。
ヨアヒムのカデンツァも素晴らしい充実感。サロネン、
POとの丁丁発止としたやり取りを見聞きしているうちに
アッと言う間に曲が終わってしまったと言う感じでした。

去年12月に聴いたテツラフ、ドイツ・カンマー・フィルとの
演奏に感心しましたが、今回は感動的な演奏でした。


アンコールはバッハの無伴奏パルティータ3番からジーグ。
ヴァイオリンの魅力をあますところなく披露してもらいました。


休憩後のシベリウスの5番、文句無しの名演。如何にも
シベリウスの交響曲と言う雰囲気を満喫しました。指揮者と
オケが同じ息遣いをしている一体感、緊張感にこちらも
引き込まれてしまいました。このオケの低弦はどんなに
強く弾いてもゴリゴリと言う音を出さない。それでも
物足りなさを感じさえない演奏でした。


アンコールは「悲しいワルツ」。サラッと乾いた感触の
ワルツ。変に感傷的にならないワルツは魅力的でした。