以前はブラームスのVn協奏曲が協奏曲の中で一番好きでした。
いつの間にかLP, CD等いろいろな演奏が集まってしまいましたが
最近は殆ど聴きません。この曲特有の臭みが鼻についてきたのだと
思います。ベートーベンのVn協奏曲は今でも良く聴きます。ベートーベンの
協奏曲には臭みが感じられません。”臭み”と言われても何のこっちゃ
でしょうが”臭み"です(笑)
久々にオイストラフとクレンペラー、フランス国立放響の演奏を
聴きました。この演奏は高校生に頃に初めて聴いた演奏です。
当時は赤盤のLPで毎日繰り返して聴いた懐かしい演奏です。
1960年のセッション録音ですが今でも十分現役、出だしから
引きこまれます。クレンペラーのゆったりしたテンポでフォルテに
なっても余裕がある響きが素晴らしいです。オケの前奏が終わると
オイストラフの太い音がスーッと入ってくる。もう曲の魅力が
溢れだしてたまらなくなります。この時、オイストラフは52歳との
事ですから最盛期かも。艶やかな太い音色を聴いていると
その美しさにうっとり聴き惚れてしまいます。
2楽章のオーボエの頼りなげな吹き方と対象的なVnの
明るく、太い音、もう最高です。この部分のオーボエが
危なげない演奏は好みではありません。3楽章が遅すぎると
言う指摘を昔読んだことがありますが、オイストラフが確信を
もって弾いたテンポだと思います。クレンペラーを信頼して
オイストラフはやりたい事をし尽くしたのではないかと
勝手に想像しています。
エソのハイブリッドでも発売されたセルとの演奏ですが
同じEMIの録音でもヴァイオリンをクローズアップ気味にした
録音のせいかあまり好きになれません。クレンペラーとの
演奏をハイブリッドにして欲しかったと思っています。