新大阪で声楽ボイトレ個人レッスン!小谷ボイストレーニング教室

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前編では、「もっと吸えば長く歌える」という思い込みが、かえって声を不安定にしてしまうことをお話ししました。
前回記事を未読の方は下記からご確認ください
https://ameblo.jp/kotanilyan/entry-12970780849.html

 

たくさん吸おうとするほど、胸や肩に力みが生まれる。
息の流れが乱れて、結局は早く尽きてしまう。

では、意識を「吸う量」から外したあと、私たちは何をすればいいのでしょうか。
 

そして、声はいったいどこから生まれるのでしょうか。

今日は、その答えを「コップの水」のたとえからお話しします😊

コップに水をいっぱい入れると、こぼさないことに気を取られる

コップに水を注ぐ場面を、思い浮かべてみてください。

コップのふちすれすれまで注ぐと、運んでいる間ずっと「こぼさないように」と気を張ることになります。
 

あふれそうな水を持った瞬間から、手も足も、おそるおそるしか動かせなくなります。

でも、半分くらいの量なら話は別です。
多少ゆれてもこぼれませんし、気軽に歩けます。

歌うときの呼吸も、これとそっくりです。

息を限界まで吸い込むと、今度はその息を「漏らさないように」キープすることへ、力が向いてしまいます。
 

声を出すより先に、ためこんだ息を持ちこたえることへ、体が使われてしまうのです。

前編でふれた、喉に余計な力が入る状態。
あれも、ここから生まれています。

いっぱいに吸った直後は、歌い出しの声がどこか硬くなりやすいもの。
これは、あふれそうな息を必死に押しとどめているからです。

しかも、皮肉な話があります。

限界まで吸った人ほど、最初の一音でドッと余りを吐き出してしまい、かえって早く息が尽きるのです。
 

「足りなくなったら怖い」という不安が、そのまま浪費に変わってしまう。

反対に、余白のあるコップは、水がこぼれにくく、手も自由に動きます。

息もまったく同じです。
満タンを目指さず、少し余白を残しておくほうが、声を動かすゆとりが残ります。

 

吸い込むために使っていた力を、そのぶん声そのものへ回せるようになるのです。

息をたくさん抱えることは、一見すると安心材料に思えます。
でも実際は、管理する手間が増えているだけ、ということが少なくありません。

 

息は、多ければ多いほど良いわけではないのです。

吸う量を限界まで増やすより、余白を残すこと。
そのほうが、息の流れはずっと安定します。

 

息の流れをもっと安定させたい方は、力を抜いて、息をゆっくり。声が安定した小さなコツ も参考になります。

声は喉だけでなく、丹田を含む全身の協調で生まれる

最後に、吸う量を手放したあと、声がどこから生まれるのかを見ておきましょう。

結論から言うと、声は喉だけの仕事ではありません。
丹田を含む、全身の協調から生まれます。

必要以上に吸い込むと、胸や肩が主役になってしまい、お腹の奥──いわゆる丹田から下の支えが、すっぽり抜けてしまいます。

土台が浮いてしまうと、上半身だけで声をまかなおうとして、喉だけで無理に声を出そうとしがちです。
 

その結果、声が不自然になる。
歌うとぎこちなくなる理由の一つが、これなのです。

逆に、吸う量にこだわらず、お腹の奥で呼吸を支えている感覚があるとき。
丹田のあたりに軽く力が入り、息の流れが安定します。

その安定した流れの上で、声帯が細かく反応してくれる。
 

喉も、胸も、お腹も、それぞれの持ち場で協調している状態です。

これは、サッカーのチームによく似ています。

一人のエースが強引にボールを持ち込むのではなく、全員が自分のポジションを守って連携したとき、チームはいちばん力を発揮します。

声も同じです。
喉という一点に頼りきらず、全身がそれぞれの役割を果たすときに、いちばんラクに出るのです。

 

声が無理なく続いているときは、たいてい、この協調がうまく起きています。

そこで、意識をひとつだけ切り替えてみてください。

「たくさん吸う」ではなく、「声を出す前から、息がもう流れ始めているか」。

吸い込んだ量を確かめにいくのではなく、吐く側・流れる側へ、注意をそっと移すのです。

 

実際、息を最後まで吐き切って力を抜けば、空気は自然と入ってきます。
あえて大きく吸い込もうとしなくても、必要な分はちゃんと戻ってくるのです。

高音も、考え方は変わりません。
音の高さだけを狙って力むのではなく、下から流れが続いているかどうかを、感じてみてください。

 

丹田がどのように声を支えているのか気になる方は、丹田が歌に与える影響とは?その仕組みと実践法 も参考になります。

 

後編のまとめ

今日お伝えしたのは、吸う量を手放したあと、声をどう支えるか、というお話でした。

✔ 限界まで吸うと「漏らさないように」保つことへ力が向き、声が硬くなる
✔ 余白を残すほうが、息の流れにも声にもゆとりが生まれる
✔ 声は喉だけでなく、丹田を含む全身の協調から生まれる

 

最後に、今日からできる小さな実験をひとつ。

 

一度、息を最後まで吐き切ってみてください。
そして、ふっと肩の力を抜く。

すると、自分から吸いにいかなくても、空気が勝手に入ってくる感覚があるはずです。
その「勝手に入ってくる」を、歌い出しのスタートにしてみてください😊

 

前編・後編と、お読み頂きまして、ありがとうございました。

「もっと吸わなきゃ」という気持ちから、少しでもふっと力が抜けるきっかけになればうれしいです。

 

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カラオケや練習で、サビの途中で息が苦しくなる。
ロングトーンが、最後までもたない。

そんなとき、ほとんどの方はこう考えます。
 

「息が足りないんだ。次はもっとたくさん吸おう」と😣

ところが、不思議なことが起こります。

しっかり吸い込んだはずなのに、前より苦しい。
肩で大きく息を吸った瞬間に、喉がキュッと詰まる。

 

もし心当たりがあるなら、今日のお話はきっと役に立ちます。

「たくさん吸えば長く歌える」という思い込みが、なぜ逆効果になりやすいのか。
順番に見ていきましょう。

「もっと吸えば長く歌える」が、声を不安定にする

先に、結論からお伝えします。

たくさん吸おうとする意識そのものが、声を不安定にしていることがあります。

息をたっぷり入れれば長く歌える。
直感的にはうなずける考えです。
 

車のガソリンと同じで、入れた分だけ走れる気がします。

だから息が続かないと感じる人ほど、次のフレーズの前で大きく吸い込もうとします。

でも、呼吸は燃料を満タンにするのとは少し違います。

必要以上に吸おうとすると、肺の下まで使う深い呼吸ではなく、胸や肩を持ち上げて空気を詰め込む動きになりやすいのです。

 

試しに、思いきりたくさん吸ってみてください。
多くの人は、肩が上がって胸が大きくふくらむはずです。

肺の下まで届く深い呼吸では、お腹や脇腹がふくらみ、肩は上がりません。
この状態なら、吐くときに息をなめらかに送り出せます。

ところが胸や肩で吸うと、吐く前から上半身に力が入り、息の流れが乱れます。
首や喉にも余計な力が入りやすくなります。

 

そのまま歌い出せば、声帯の振動も落ち着きにくくなる。
声を出す準備の段階で、すでに力みが生まれているのです。

つまり、たくさん吸ったことが、そのまま良い声につながるわけではありません。
むしろ「吸おう」と頑張るほど上半身が固くなり、せっかく入れた息を扱いにくくしてしまいます。

 

息が続かないと感じたとき、その原因が「量の不足」だとは限らない。
まずは、ここを疑ってみる価値があります。

 

力を入れて頑張るほど声が出にくくなってしまう理由については、ボイトレって筋トレ?実は声が出にくくなる本当の理由 でくわしくお話ししています。

息の量を増やしても、フレーズが続くとは限らない

同じくらい息を吸っていても、楽に歌い切れる人と、途中で苦しくなる人がいます。
この差は、吸った量だけでは説明できません。

息は「どれだけ入れたか」よりも、「どう流れていくか」でもちが大きく変わります。

歌い出しの一語に勢いよく使いすぎれば、当然あとに残りません。
 

短距離走でスタート直後に飛ばしすぎると、ゴール前で失速するのと同じです。

声をしっかり出そうとして息を強く吐きすぎても、量はあるのに早く尽きます。
言葉のひとつひとつで息がぶつ切りになっていたり、喉に力が入っていたりすると、そのぶん無駄が増えます。

 

ここで、よく聞く通説に立ち止まってみます。

「息が続かないのは肺活量が足りないから、まずは吸う量を増やそう」という説明です。

たしかに呼吸がなければ声は出ませんから、まったくの間違いではありません。

けれど、普段は息苦しさを感じない人が、歌になると急に続かなくなる。
階段を上っても平気な人が、一フレーズで苦しくなる。

これを肺活量だけで説明するのは、無理があります。

問題は、入っている量ではなく、減っていき方にあります。
 

入口をいくら広げても、出口で漏れていれば、入れた分は生きません。

息を強く吐くほど大きな声になると思い込んでいると、必要のない場面まで息を浪費します。
声の大きさは、息の量に単純に比例するわけではないのです。

 

息が続かない正体は、量の不足ではなく、息の流れの不安定さにあることが多いのです。

息の流れをなめらかにして声を安定させるコツは、力を抜いて、息をゆっくり。声が安定した小さなコツ でご紹介しています。

本当の問題は、「吸う量」に意識を奪われること

では、なぜ「たくさん吸おう」とすると、かえって声が不安定になるのか。

鍵は、息の量そのものではなく、意識の向け先にあります。

たくさん吸おうとする瞬間、私たちの意識は「どれだけ入ったか」という結果に張りつきます。
お腹はふくらんだか、胸はいっぱいになったか。
 

体の内側の感覚を、ひとつずつ確かめながら動くことになります。

運動学習の研究では、これと近いことが知られています。

動作の最中に、体の一部や動きそのものへ意識を強く向けると、本来なめらかに働くはずの動きが、かえって崩れやすくなるのです。

 

自分の体の内側へ意識を向けることを「内的焦点」、動きの先にある目標や結果へ意識を向けることを「外的焦点」と呼びます。
多くの場面で、内側を細かく意識しすぎると、動きはうまくいきません。

身近な例で言えば、自転車です。
乗りながら「今どうやってバランスを取っているか」を細かく考えはじめると、急にふらつきます。

 

普段は無意識でなめらかにできていることほど、意識を差し込むと崩れやすいのです。

呼吸も、まさにそれです。
普段はまったく意識せず、なめらかに働いています。

ところが「たくさん吸う」と強く意識した瞬間、その無意識の働きに、横から手を入れることになります。

 

結果として、全身でなめらかに連動していたはずの呼吸が、胸や肩の部分的な力みに変わってしまう。
吸う量を増やそうとした努力が、そのまま力みに化けてしまうのです。

私自身、レッスンでも「考えすぎないこと」を繰り返しお伝えしています。

これは精神論ではありません。
意識を向けすぎること自体が、動きを壊してしまうからです。

だとすれば、やるべきことは吸う量を増やすことではありません。
吸う量から、意識を外すことです。

量ではなく、意識をどこに向けるか。
そこが、声の安定を左右しています。

 

呼吸への意識を手放したときに声がどう変わるのかは、「お腹を動かさなきゃ」を手放したら、声がラクになりました でお話ししています。

前編のまとめ

今日お伝えしたのは、息が続かない原因は"量の不足"とは限らない、ということでした。

✔ たくさん吸おうとすると、胸や肩に力みが生まれやすい
✔ 量を増やしても、流れが不安定なら息は早く尽きる
✔ 本当の問題は、「吸う量」に意識を奪われること

 

では、意識を吸う量から外したあと、声はどこから生まれるのか。
そして、どうすれば息の流れは安定するのか。

後編では、「コップの水」のたとえを入口に、丹田を含む全身の協調で声を出していく考え方をお話しします。

「もっと吸わなきゃ」から、ふっと力を抜けるヒントになるはずです😊

 

次回も、ぜひ読んでみてくださいね。

 

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【普段の会話にある、歌が上達するヒント】

こんばんは、ボイストレーナー小谷です😊

歌になると急に喉に力が入る。

普段の会話では普通に声が出ているのに、歌い始めた瞬間に声が不自然になる。

こういうこと、ありませんか?

実はこれ、声の才能がないからではありません。

普段の会話で自然にできていることが、歌になると見えにくくなっているだけかもしれません。

【普段は、声を細かく変えている】

家族に「おはよう」と言う時。

少し離れた人に「すみません」と声をかける時。

小さい子どもに話しかける時。

私たちは、そのたびに声の高さ、強さ、言葉の出し方を変えています。

でもその時に、

「声帯をこう動かそう」

「息の量を何割にしよう」

とは、ほとんど考えていないはずです。

相手がいて、距離があり、伝えたいことがある。

その状況に合わせて、息の流れや声の出方が自然に変わっています。

【歌になると、意識が喉に集まりやすい】

ところが歌になると、急に意識が変わります。

音程を外してはいけない。

高い声を出さないといけない。

もっと良い声で歌わないといけない。

そう考えるほど、声を届ける相手よりも、喉の中で何が起きているかばかりが気になりやすくなります。

その結果、喉だけで声を無理やり出そうとしてしまう。

息の流れが不安定になり、声帯の振動も落ち着きにくくなる。

ここに、歌が難しく感じる理由の一つがあります。

歌う時に喉に余計な力が入りやすい理由は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法でも詳しく解説しています。

【歌のヒントは、特別な声だけにあるわけではない】

歌が上達するヒントは、特別な声を作ることだけにあるのではありません。

むしろ、普段の会話の中にあります。

遠くの人を呼ぶ時、声は自然に届きやすくなります。

子どもに話しかける時、声は少し高く、やわらかくなります。

初対面の人に丁寧に話す時、声の強さや言葉の出し方も変わります。

これは、声帯や喉を細かく操作しているからではありません。

「誰に届けるか」がはっきりしているから、呼吸と喉が一緒に働きやすくなるのです。

【喉だけを見るより、相手をイメージする】

歌がうまくいかない時、多くの人は体の中を一生懸命見ようとします。

喉はどうなっているか。

息はどれくらい出ているか。

高音でどこに力を入れればいいのか。

もちろん、体の働きを知ることは大切です。

ただ、体の中ばかりを意識しすぎると、かえって声は出にくくなります。

たとえば、誰かにボールを投げる時。

相手のいる場所へ届けようとするから、腕や手首や体の動きがつながります。

途中で腕の角度ばかり気にしすぎると、動きはかえって固くなります。

声もこれに近いです。

「喉をどうするか」だけではなく、

「誰に届けるのか」

「どの距離に届けるのか」

「どんな言葉として伝えるのか」

ここに意識を向けると、声は動きやすくなります。

これは外的焦点という考え方にもつながります。

体の細かい動きそのものより、声の行き先や目的に意識を向けた方が、結果として動きがつながりやすくなるという考え方です。

歌も体を使う運動です。

声帯だけで歌っているわけではありません。

呼吸があり、喉があり、舌や口の動きがあり、言葉があり、相手に届けようとする意識があります。

【ただし、イメージだけでは足りない】

ここは大切です。

相手をイメージすれば、それだけで歌が上達するわけではありません。

ここを曖昧にすると、発声の話がただの感覚論になります。

イメージは入口です。

でも、声を支えるのは体の働きです。

特に大切なのは、呼吸を支えることです。

声は、喉だけで作るものではありません。

息の流れがあり、その息に対して声帯が細かく反応することで声になります。

息の流れが不安定だと、声帯の振動も落ち着きにくくなります。

その結果、声が不自然になったり、高い音で喉に余計な力が入りやすくなったりします。

だから、相手をイメージすることと、呼吸を支えることは切り離せません。

遠くの人を呼ぶ声をイメージするなら、声を出す前から息の流れが起きているか。

丹田周辺に少し力が入り、下から息の流れを支えられているか。

喉だけで声を無理やり出そうとしていないか。

ここが伴って、初めてイメージが発声につながります。

丹田に力が入りにくい方は、丹田に力が入らない方へ|丹田に力を入れる方法と確認のポイントも参考になります。

【普段の声を、歌につなげる】

ボイトレは、日常から離れた特別な声を無理に作ることだけではありません。

普段の会話の中で、すでに自然に起きている声の働きに気づくこと。

その働きを、呼吸と喉の連動へつなげること。

そして、歌の中で相手に届く声として使えるようにすること。

ここに大切な意味があります。

もちろん、会話の声をそのまま歌に使えばよい、という話ではありません。

歌には音域があります。

音の長さがあります。

フレーズがあります。

日常会話よりも、息の流れを長く保つ必要があります。

だからこそ、普段の声にある自然な働きを、歌の中で使える形へつなげていく必要があります。

丹田周辺に少し力が入っているか。

声を出す前から息の流れが起きているか。

その息に対して、声帯が細かく反応できているか。

そして、その声が誰に向かっているのか。

この三つがつながると、声は喉だけで無理やり出すものではなくなります。

丹田から声を出す基本を知りたい方は、丹田から声を出す方法|初心者の方が知っておきたい発声の基本が参考になります。

【特別な声を探す前に】

歌が上達したい時ほど、一度、普段の会話に目を向けてみてください😊

遠くの人を呼ぶ時、自分の体はどう準備しているのか。

子どもに話しかける時、声はどう変わるのか。

丁寧に伝える時、息の流れはどう保たれているのか。

声が無理なく出ている時、自分は何を意識しているのか。

自分の声は、相手によってすでに変わっています。

その変化の中に、歌につながる自然なヒントがあります。

 

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前回は、「喉を鍛えれば声が良くなる」という考え方の落とし穴についてお話ししました。

声が出しにくい本当の原因は、喉の筋力不足ではなく、呼吸と喉の連動が崩れていること。
喉だけを切り離して鍛えると、かえって力みが増えてしまう、というお話でしたね。

 

では、何から整えればいいのか。

今日はその答えである、丹田と呼吸についてお伝えします😊

【喉のトレーニングは、必ず呼吸とセットで】

私がレッスンで大切にしている原則があります。

それは、喉のトレーニングは、必ず呼吸とセットで行うということです。

なぜなら、声を出すとき、喉はいつも呼気に反応して働いているからです。

 

呼気が流れていない状態で、喉だけを動かす。
声帯だけを閉じようとする。
喉頭の位置だけを整えようとする。

こうした練習は、実際に声を出すときの動きから離れてしまいます。

 

喉は、単独で動く部品ではありません。
呼気という流れがあって、はじめて自然に働く場所なのです。

喉だけで練習しない理由を詳しく知りたい方は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法も参考になります。

【そもそも、丹田ってなんですか?】

ここで鍵になるのが、丹田です。

丹田とは、おへその少し下あたりを指す考え方です。

実際に「丹田」という器官があるわけではありません。
でも発声では、体の中心を意識するための目印として、とても使いやすい場所です。

 

多くの方は、声が出しにくいとき、まず喉を見ます。

でも私のレッスンでは、先に丹田を使うことを大切にしています。

なぜなら、それが喉に余計な力を入れさせないための入口になるからです。

 

丹田を意識して、胴体の下のほうの筋肉が働くようになると、呼気が安定しやすくなります。

呼気が安定すると、喉は無理に頑張らなくても、声を作りやすくなります。

反対に、呼気が弱かったり不安定だったりすると、喉は声を成立させようとして、強く働きすぎてしまいます。

 

その結果が、あの喉の締まりや、声の詰まりなのです。

丹田が発声で大切になる理由は、なぜ丹田はボイストレーニングで重要なのか?で詳しく確認できます。

【風車を思い浮かべてみてください】

これは、風車に似ているかもしれません。

風車は、羽だけをどれだけ立派にしても、風が流れなければ回りません。

反対に、風の流れさえ安定していれば、羽はその風を受けて、自然に回り始めます。

発声も、これと同じです。

 

喉や声帯は、声を作るためにとても大切な部分です。
けれども、そこだけで声が生まれるわけではありません。

そこには、呼気という「風の流れ」が必要です。

 

呼気が安定して流れるからこそ、声帯はその流れに反応して振動するのです。

だから、喉のトレーニングをするときも、必ず呼吸とセットにする。
喉だけを切り離すのではなく、呼気が流れたときに喉がどう反応するかを見る。

この順番が、とても大切です。

呼気とお腹の動きの関係を知りたい方は、歌うときお腹はへこます?ふくらむ?腹式呼吸の仕組みと正しいお腹の動きを解説が参考になります。

【丹田は、「力む場所」ではありません】

ただし、ここで一つ注意があります。

丹田を意識すれば、すぐに声が変わる。
そんな単純な話ではありません。

最初のうちは、丹田を使っているつもりでも、実際には胸や肩に力が入ってしまうことがあります。

 

お腹を固めすぎて、呼気がかえって止まってしまうこともあります。

だから、丹田は「力む場所」ではないのです。

丹田は、呼気を安定させるための入口として使う場所です。

ぐっと固めるのではなく、そこから自然に呼気が流れ出していく。
そんなイメージで使ってみてください。

 

丹田にうまく力が入らない方は、丹田に力が入らない方へ|丹田に力を入れる方法と確認のポイントで確認できます。

【眠っている呼吸を、目覚めさせる】

最終的に目指したいのは、歌うたびに丹田を強く意識し続けることではありません。

理想は、声を出そうとした瞬間に、丹田まわりの筋肉が自然に反応して、呼気が流れ、その呼気に喉が自然に乗っていく状態です。

でも、そこに至るまでは、丹田への意識が必要です。

なぜなら、多くの方は、発声に必要な呼吸器官の働きが眠っているからです。

 

使えていないものは、まず意識しなければ目覚めません。

そして、呼吸器官が目覚めてくると、喉だけに頼る必要が、少しずつ減っていきます。

喉だけを鍛えるのではなく、喉が呼吸と一緒に働ける状態を作る。

そのために、まず丹田と呼吸から整える。

これが、声を良くするために必要な順番なのです。

 

丹田を意識した練習で歌声を整えたい方は、丹田を意識して歌が上手くなる!歌唱力を引き出すボイストレーニングも参考になります。

【声は、無理に作るものではない】

声を良くしようとすると、多くの方は何かを足そうとします。

もっと喉を強くしよう。
もっと声帯を閉じよう。
もっと喉を開こう。
もっと共鳴させよう。

 

もちろん、声を良くするために練習は必要です。

でも、本当に大切なのは、無理に何かを足して声を作ることではありません。

呼吸と喉が、自然に一緒に働ける状態を取り戻すことです。

喉は、力で押し込む場所ではありません。
呼気の流れに反応して、自然に働く場所です。

練習を続けていけば、喉の筋肉も、もちろん使われます。
声帯を閉じる働きも、伸ばす働きも、喉頭を安定させる働きも、育っていきます。

ただし、それは喉だけを単独で鍛えた結果ではありません。

呼吸と喉が一緒に働く練習を重ねた結果として、必要な働きが、自然に育っていくのです。

 

ここが、本当に大切なところです。

喉を鍛えることが、悪いのではありません。
喉だけを切り離して鍛えようとすることが、発声を難しくしてしまうのです。

声帯を閉じる働きと発声の関係を知りたい方は、声門閉鎖と発声の関係を徹底解説で確認できます。
 

【さいごに】

声は、喉の力だけで押し出すものではありません。

呼吸と喉が一緒に働いたときに、自然に立ち上がってくるものです。

「喉が苦しい」「高音が出ない」と感じたとき、つい喉だけを何とかしようとしてしまいます。

でも、一度立ち止まって、呼吸に目を向けてみてください。

 

声を出すその瞬間、丹田を意識して、呼気はちゃんと流れているでしょうか。
その流れに、喉は自然に乗れているでしょうか。

まずは、声を出す前のひと呼吸から。
そこから、少しずつ整えていきましょう😊

次回も、発声のヒントをお届けしていきますね。

 

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高い声を出そうとすると、喉が苦しい。
歌っていると、だんだん喉が詰まってくる。
ただ話しているだけなのに、夕方には喉が疲れている。

こんなお悩み、ありませんか?

こういうとき、多くの方がこう考えます。

 

「私は喉が弱いのかもしれない」
「喉の筋肉を鍛えれば、声が良くなるはずだ」と。

 

これは、とても自然な発想です。
声は喉から出ているように感じますし、実際に声帯も喉の中にありますから。

でも、ここに大きな落とし穴があります。

今日は、なぜ「喉を鍛える」という考え方が、かえって声を出しにくくしてしまうのか。
その理由を、一緒に見ていきたいと思います😊

【なぜ「喉を鍛えれば」と思ってしまうのか】

足が遅ければ、脚を鍛える。
重い物が持てなければ、腕を鍛える。
姿勢が崩れるなら、体幹を鍛える。

 

このように考えると、「声が弱いなら喉を鍛える」となるのは自然なことです。

でも、発声はそう単純ではありません。

声は、喉の筋肉の力だけで決まるものではないからです。

声が生まれる流れを見てみましょう。

 

まず、呼気が流れます。
その呼気によって、声帯が振動します。
そしてその音が、咽頭腔や口腔などの共鳴腔で整っていきます。

つまり声は、呼吸と喉と共鳴が、一つの流れとして働いた結果として生まれます。

喉だけを何とかしようとするほど、この大切な「つながり」が見えなくなってしまうのです。

 

喉だけに意識が向きやすい理由は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法でも詳しく解説しています。

【喉は、そんなに単純な筋肉ではない】

「喉の筋肉」と聞くと、一つの大きな筋肉をイメージするかもしれません。

でも、実際の喉はもっと複雑です。

声を出すときには、声帯そのものに関わる筋肉だけでなく、声帯が入っている器官である喉頭、その喉頭を支えたり動かしたりする筋肉、共鳴腔の広さに関わる筋肉など、たくさんの筋肉が関わっています。

 

声帯だけで、声を作っているわけではないのです。

ここで、一つたとえてみます。

スマホを操作するとき、指先がどれだけ器用でも、本体を持つ手がぐらぐらしていたら、細かい操作はできませんよね。

声も同じです。


声帯が細かく働こうとしても、喉頭全体が不安定なら、声帯はうまく働けません。

さらに難しいのは、喉の筋肉は自分の意識では動かしにくいということです。

腕を曲げる、脚を上げる、お腹に力を入れる。
これらは、はっきり意識できます。

 

でも、喉の中の細かい筋肉を一つずつ感じ取って、「今はこれを動かして、次はこれを休ませて」と操作するのは、現実的ではありません。

発声中の喉は、自分で細かく命令して動かすというより、呼気の流れや声のイメージに反応して、自然に働いている部分が大きいのです。

小さな子どもにやさしく話しかけるとき、私たちは「声帯をこのくらい伸ばそう」なんて考えていません。


それでも、自然に声はやわらかくなります。

この自然な反応こそが、発声ではとても大切なのです。

【一部分だけを鍛えると、バランスが崩れる】

「大切な場所なら、そこを鍛えればいい」

一見、正しそうに見えます。
でも発声では、そうはなりません。

 

声は、一つの筋肉だけで作るものではないからです。

ボールを投げる動きを考えてみてください。

遠くに投げるには、腕の力も必要です。


でも、腕だけを強くしても、うまく投げられるわけではありません。

足の踏み込み、体幹の回転、肩、肘、手首、指先。
これらがつながって、はじめて自然に投げられます。

手首だけを強く使おうとすれば、フォームは崩れます。
肩だけに力を入れても、スムーズには投げられません。

 

発声も、これに近いのです。

喉だけを切り離して鍛えようとすると、呼気とのつながりが弱くなります。

すると、声帯を閉じすぎたり、喉頭を固めすぎたり、喉のどこか一部に力が集まってしまいます。

 

その結果、声は安定するどころか、かえって出しにくくなるのです。

声帯を閉じる働きも、声帯を伸ばす働きも、喉頭の位置を調整する働きも、どれも発声には必要です。


問題は、そのどれか一つだけを取り出して強めようとすること。
一つが強くなりすぎると、ほかの働きとの関係が崩れてしまうのです。

しかも厄介なのは、喉の中は感覚が分かりにくいということ。

 

喉を開こうとして、舌の奥や首に力が入る。
声帯を閉じようとして、喉全体を締めてしまう。
高音を出そうとして、首や顎まで固まる。

こういうことが、本当によく起こります。

「鍛えているつもり」が、実は「力ませているだけ」になっている。


これが、喉のトレーニングの怖いところです。

声帯を閉じる働きと喉に余計な力が入る状態の違いは、声門閉鎖と発声の関係を徹底解説が参考になります。

【本当の原因は、喉の筋力不足ではない】

声が出しにくいとき、原因は喉そのものではないことが多いです。

多くの場合、本当の原因は、呼吸と喉の連動が崩れていることにあります。

声を出す最初の動力は、呼気です。

 

呼気が安定して流れるからこそ、声帯はその流れに反応して振動します。

ここが弱かったり不安定だったりすると、喉はその影響をまともに受けてしまいます。

呼気が不安定なまま声を出そうとすると、喉は声を成立させるために頑張りすぎてしまうのです。

 

本来なら、呼気が流れて、それに声帯が反応すればいい。
それなのに、喉の力で無理やり声を作ろうとする。

その結果が、喉の締まりや、声の詰まりです。

これは、特に歌で表に出やすくなります。

普段の会話なら、大きな音量も広い音域もいりません。
短い言葉を話すだけなら、多少連動が崩れていても、なんとか声は出ます。

でも、歌は違います。

 

音程、高音、声の持続、言葉、音量。
これらを、同時に扱う必要があります。

だからこそ、呼気の安定がより重要になります。

呼吸と丹田の関係を深く知りたい方は、なぜ丹田はボイストレーニングで重要なのか?も参考になります。

 

声の動力が安定していないと、「喉だけでなんとかしよう」とする状態が強くなり、歌うと急に喉が苦しくなるのです。

これは、喉の筋肉が弱いからではありません。

呼吸器官が十分に働かないまま、喉に仕事を任せすぎている状態なのです。

ここで喉だけを鍛えようとすると、ますます喉に意識が集まります。
首や顎、舌の奥にも力が入る。


そして、呼気とのつながりは、さらに弱くなっていきます。

声を良くするための練習が、かえって喉の力みを強める練習になってしまう。

これは、本当にもったいないことです。

では、どうすればいいのか。

 

答えは、「喉を鍛える」ことではありません。

喉が、呼気に反応して自然に働ける状態を作ること。
そのために、まず整えたい場所があります。

それが、丹田と呼吸です。

 

後編では、なぜ「喉」ではなく「丹田」から整えるのか。
その具体的な理由を、お話ししていきます。

「喉が苦しい」を、喉のせいにしない。
その入口を、次回、一緒に見ていきましょう😊

 

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【高音になると、急に喉が苦しくなる理由】

こんにちは、ボイストレーナー小谷です。

低い音や中くらいの音は普通に歌えるのに、高音に入った瞬間だけ急に苦しくなる。

こういう経験、ありませんか?😣

さっきまで楽に歌えていたのに、ある音から急に喉に余計な力が入る。

声が細くなる。
ひっくり返る。
出たとしても、かなり頑張っている感じがする。

高音の悩みでよくあるのは、ここです。

本人はただ「高い音を出そう」としているだけなのに、体の中では別のことが起きています。

高音に入る時、息の流れが不安定になる。

すると、呼吸側で声を支えきれなくなり、喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。

その結果、高音だけ急に苦しくなるのです。

もちろん、高音には慣れも必要です。

いきなり楽に出せるものではありません。

ただし、毎回高音で喉が苦しくなるなら、それは単に「高音の出し方を知らない」だけではないかもしれません。

音が高くなった時に、呼吸と喉のつながりが切れやすくなっている。

そこを見る必要があります。

【高音は、喉だけの技術ではありません】

高音というと、どうしても喉の使い方を探したくなります。

声帯をどうするのか。
どこを意識すればいいのか。
どんな練習をすれば一気に出るのか。

そう考えたくなるのは自然です。

でも、高音は喉だけで作るものではありません。

ここが、この記事で一番大事なところです。

高音は、呼吸、声帯、喉頭、共鳴がつながった結果として出てきます。

もちろん、声帯の働きは大切です。

高音では、声帯が低音の時と同じ状態ではいられません。

音が高くなるほど、声帯は細く伸び、細かく反応する必要があります。

ただ、声帯だけを見ていても、高音は安定しません。

息の流れが不安定なまま高音に入ると、声帯はその流れに反応しにくくなります。

すると、足りない分を喉だけで補おうとして、喉に余計な力が入りやすくなります。

無理なく声が出ている時は、喉だけで頑張っているわけではありません。

呼吸側が動く。
声帯が細かく反応する。
喉頭が安定する。
声が通りやすくなる。

このつながりの中で、高音は出てきます。

高音で喉に余計な力が入りやすい理由は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法でも詳しく解説しています。

【高音で同時に起きていること】

高音が出る時、体の中ではいくつもの働きが同時に起きています。

まず必要なのは、息の流れが安定していることです。

ここで言う息の流れは、息をたくさん出すことではありません。

高音で息を強くぶつけようとすると、かえって喉に余計な力が入りやすくなります。

大切なのは、声を出す前から息の流れが起きる準備ができているかです。

息の流れが安定すると、声帯はその流れに反応しやすくなります。

反対に、息の流れが不安定なまま高音へ入ると、声帯の振動も落ち着きにくくなります。

その結果、声がかすれる。
ひっくり返る。
喉だけで音を支えようとする。

こういう状態が起きやすくなります。

次に大切なのが、喉頭の安定です。

高音になると、喉頭が必要以上に上がったり、喉に余計な力が入ったりする人がいます。

これは、高い音を喉だけで頑張って出そうとしている状態です。

喉頭が不安定になると、声帯の反応も安定しにくくなります。

声帯だけが頑張っても、その周りの状態が落ち着いていなければ、声は無理なく保たれません。

そして、共鳴も関わります。

ただし、ここで言う共鳴は「どこかに響かせる感覚を作る」という意味ではありません。

息の流れが安定し、声帯が細かく反応し、喉頭が安定した結果として、声の中に通りやすさが出てくるということです。

つまり高音は、ひとつの場所だけで決まるものではありません。

息の流れ。
声帯の反応。
喉頭の安定。
声の通りやすさ。

これらがつながった時に、高音に入りやすくなります。

喉頭の安定について詳しく知りたい方は、高音で喉仏が上がる本当の原因|歌で喉が楽になる5ステップのボイトレも参考になります。

【高い音を狙う前に、息の流れを見る】

高音を練習する時、多くの人はまず音の高さを狙います。

高い音が出ないから練習しているわけなので、それ自体は当然です。

ただ、音の高さだけを狙うと、呼吸や喉頭の状態よりも「とにかく音に届くこと」が優先されやすくなります。

この時に起きやすいのが、喉だけで声を無理やり出そうとすることです。

高音に入る前から息の流れが不安定なのに、音だけは高くしようとする。

すると、呼吸側で足りない分を、喉だけで補いやすくなります。

だから、高音に入る前にまず見たいのは、声を出す前から息の流れが起きているかです。

声を出す瞬間に、慌てて息を押し出すのではありません。

声を出す前から、息が流れ始める準備ができているか。

ここが大切です。

ここで関わるのが、丹田です。

丹田というと、「お腹を強く固めること」と思われることがあります。

でも、ここで言いたいのは、強く固めることではありません。

丹田周辺に少し力が入り、呼吸を支える状態があることです。

この状態があると、息の流れが安定しやすくなります。

息の流れが安定すれば、喉だけで高音を無理に出す必要が減ります。

たとえば、遠くにボールを投げる時を考えると分かりやすいです。

手首だけで遠くに投げようとすると、力みます。

でも、体全体がつながって動くと、手首だけで頑張らなくてもボールは前に飛びます。

高音もこれに近いです。

喉だけで高い音を出そうとすると、喉に余計な力が入りやすくなります。

けれど、呼吸側が先に動き、息の流れが安定していると、喉だけで頑張る必要が減ります。

その分、声帯が細かく反応する余地が生まれます。

丹田と呼吸の支えを詳しく知りたい方は、丹田に力が入らない方へ|丹田に力を入れる方法と確認のポイントも参考になります。

【高音のコツだけを探すと、歌がぎこちなくなる】

高音に悩むと、「何か特別なコツがあるはず」と思いたくなります。

リップロールをすればいいのか。
裏声を鍛えればいいのか。
もっと力を抜けばいいのか。
声を軽くすればいいのか。

もちろん、こうした練習そのものが悪いわけではありません。

リップロールで息の流れが安定しやすくなることもあります。

裏声の練習で、声帯が細かく反応しやすくなることもあります。

余計な力が減れば、高音に入る時の苦しさが軽くなることもあります。

問題は、それらを「高音を出すための単独のコツ」として扱ってしまうことです。

リップロールだけをすれば高音が出る。
裏声だけを鍛えれば高音が出る。
力を抜くだけで高音が出る。

こう考えると、高音練習はだんだん「正しいやり方を守ること」になっていきます。

すると、歌そのものよりも、今どこを意識するか、どの感覚を作るかに気を取られやすくなります。

その結果、歌うとぎこちなくなります。

本来、歌の中の声は、音楽の流れの中で動いています。

低い音から高い音へ行く。
言葉が変わる。
強さも変わる。
感情も変わる。

その中で毎回、「ここでこのコツを使う」と考えすぎると、声を動かすことより、声の出し方を守ることが優先されます。

すると、高音だけ歌の流れから浮いてしまいます。

低中音は自然なのに、高音だけ急に別の声になる。

高音に入る瞬間だけ、喉に余計な力が入る。

音は届いても、声の中に余裕がない。

これは、高音の練習をしているようで、実際には音の高さだけを狙っている状態です。

高音練習で裏声との関係を知りたい方は、裏声だけで歌う効果とは?裏声を鍛えることで得られる声の変化も参考になります。

【高音は、呼吸と喉がつながった時に出てくる】

高音を出したい時、多くの人は「どうすれば高い音に届くか」を考えます。

もちろん、高い音に届くことは大切です。

歌の中で必要な音が出なければ、曲として成り立たないこともあります。

ただ、高音を音の高さだけで考えると、どうしても喉だけで頑張りやすくなります。

高音に必要なのは、喉だけの強さではありません。

声を出す前から息の流れが起きているか。
息の流れが安定しているか。
声帯が細かく反応する余地があるか。
喉頭が安定しているか。
声の中に無理のない通りやすさがあるか。

この働きがつながった時、高音は出てきます。

だから、高音が苦しい時は、すぐに「もっと高い音を出そう」としないでください。

高音に入る前から、喉に余計な力が入っていないか。

息の流れが止まっていないか。

声を出す瞬間に、喉だけで声を無理やり出そうとしていないか。

ここを見るだけでも、高音の考え方は変わります。

高音は、特別なコツを一つ覚えたら急に安定する、というものではありません。

もちろん、練習法に意味がないわけではありません。

ただし、練習法はあくまで、呼吸と喉のつながりを助けるためのものです。

コツだけを集めても、息の流れが不安定なままなら、歌の中で高音は安定しません。

声帯が細かく反応できなければ、声はかすれたり、ひっくり返ったりします。

喉頭が不安定になれば、喉に余計な力が入りやすくなります。

だからこの記事では、あえてこう言います。

高音は「出し方のコツ」だけでは出ません。

コツがいらない、という意味ではありません。

コツだけを追いかけても、高音は安定しないという意味です。

高音は、喉だけの技術ではありません。

呼吸と喉がつながった時に出てくる、発声のバランスの結果です。

高音を練習する時は、まず音の高さだけを狙うのではなく、声を出す前から息の流れが起きているかを見てみてください。

そこから始める方が、喉だけで頑張る高音から抜け出しやすくなります😊

 

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【「混ぜる」って言われても、よく分からないですよね】

ミックスボイスを練習し始めると、わりとすぐに「地声と裏声を混ぜる」という言葉に出会います。 でも、いざ声に出してみると… 地声を残そうとすると、高音で喉が苦しい。 

裏声に寄せると、声が弱くて曲に使えない。 その中間を狙うと、「何割ずつ?」と考えすぎて、歌がぎこちなくなる。 

 

そんな経験、ありませんか?😣 レッスンでも「混ぜる感覚が分かりません」という相談はとても多いです。 動画も見て、説明も読んで、本人は一生懸命に練習している。 

 

それでも声に出すと、地声で押すか、裏声に逃げるかのどちらかになってしまう。 

これは、努力が足りないからではありません。 もしかすると、「混ぜる」という言葉そのものが、声の動きを分かりにくくしているのかもしれません。 今日は、その理由を順番に見ていきます。

【ミックスボイスは「足し算」ではありません】

最初に結論から言います。 ミックスボイスは、地声と裏声を足し合わせて作る声ではありません。 「地声を半分、裏声を半分」と考えると、たしかに分かりやすい。 でも、そのまま練習すると、かえって声が不自然になりがちです。 

 

なぜなら、地声と裏声は、二つの完成した声を後から合体させるものではないからです。 実際に起きているのは、声の「状態」が変わっていくことです。 低い音では、声帯が厚めに使われ、声に重さが出ます。これを多くの人が「地声」と呼んでいます。 音が高くなると、声帯は引き伸ばされ、振動する部分が薄くなって、声が軽くなります。

 

これが「裏声」と呼ばれる方向です。 この低い状態から高い状態へ移るとき、息の流れや声帯の閉じ方がかみ合わないと、声は急に切り替わったり、喉に余計な力が入ったりします。 逆に、息が安定して声帯が細かく反応できると、移り変わりの段差が目立たなくなる。 この「段差が目立ちにくい状態」を、ミックスボイスと呼んでいるんです。

 

だから、地声を残すことでも、裏声を足すことでもありません。 低い音から高い音へ動くとき、息の流れが乱れず、喉頭が安定し、声帯がその音に合わせて反応できるか。そこが本当のポイントです。 

「混ぜる」という考え方で迷いやすい方は、ミックスボイスの感覚が分からなくなる理由とは?も参考になります。

【声が高くなるとき、声帯は少しずつ変わっている】

ここは、坂道で考えると分かりやすいです。 坂を上がるとき、歩幅や体重のかけ方は少しずつ変わりますよね。 でも、途中で「別の歩き方」を混ぜているわけではありません。 坂がきつくなるにつれて、足の角度や息の使い方が自然に変わっていく。その変化がつながっているから、動きが途切れずに進めます。 声も同じです。

 

 音が高くなるにつれて、声帯の厚み・伸び・閉じ方・息の流れが、少しずつ変わります。 その変化がうまくつながると、地声から裏声へ「急に切り替わった」ようには聞こえません。 ここで注意したいのは、「低い音は地声の筋肉、高い音は裏声の筋肉」と単純には分けられない、ということです。 声帯を厚く保つ働きと、引き伸ばす働きは、どちらか一方だけで声を作っているわけではありません。

 

音の高さ・強さ・母音・息の流れによって、そのバランスが変わります。 だから「地声の筋肉を何割、裏声の筋肉を何割」と分けて考えると、実際の発声の動きから離れてしまうんです。 低い音の重さを高音まで無理に引きずれば、喉に力が入る。 早く裏声に逃げれば、高さは出ても、声の強さや言葉の輪郭が保てない。 

 

見るべきは「今、地声が何割か」ではありません。 声を動かすときに息が安定しているか。喉だけで無理に出していないか。声帯が細かく反応できているか。そこです。

 声が切り替わる感覚について詳しく知りたい方は、ミックスボイスで換声点がガラガラする原因と改善方法で確認できます。

【「混ぜよう」とするほど、意識が喉だけに集まる】

ここで、考え方を少し変えてみます。 ミックスボイスで本当に難しいのは、「中間の声を出すこと」そのものではありません。 「混ぜよう」と考えた瞬間に、意識が喉の中だけに集まってしまうこと。これが難しさの正体です。 「地声を少し残して」「閉鎖を強めて」「裏声に地声感を足して」と言われると、人は声の中をいちいち見張り始めます。 

 

今は地声が強すぎる? 裏声が弱すぎる? もっと閉じる? もっと軽く? 歌っている最中にこれをやると、動きがぎこちなくなります。 これは、運動学習の面から見ても自然なことです。 歩いているとき、足の角度や体重のかけ方を一歩ずつ確認したら、かえって歩きにくくなりますよね。 歩く動きは、一つずつ確認しなくても続いていきます。直す練習で足の使い方を見ることはあっても、実際に歩く最中に見張り続けると、動きはつながりません。

 

 歌も同じで、息・喉頭・声帯・口の形・言葉が同時に動いています。それを一つずつ確認しながら歌うと、声を動かす動きそのものが遅れます。 特にミックスボイスは、「ちょうどいいあいだ」を探そうとするほど、声を出す前から迷いが増えます。 迷うと息が不安定になる。息が不安定だと喉頭も安定しない。

 

その状態で高音に入ると、声帯が反応する前に、喉だけで無理に出そうとしてしまいます。 つまり、「混ぜよう」と計算するほど、ミックスボイスから遠ざかってしまうんです。 

喉だけで声を無理矢理出そうとしてしまう方は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法で確認できます。

【本当に必要なのは、地声感より「息の流れ」】

ここまで来ると、よくある説明の危うさが見えてきます。 「地声を残す」「声帯閉鎖を強める」が、まったく無意味というわけではありません。声が弱く抜けてしまう人には、声帯が閉じる働きが必要なこともあります。 でも、そこだけを見すぎると、ミックスボイスはむしろ遠ざかります。 地声感を残そうとすると、低い音の重さをそのまま高音まで持ち上げようとして、喉に力が入る。 

 

裏声に逃げれば高さは出ても、息が不安定で声帯の反応が弱いままだと、声は細くなる。 地声を残してもだめ、裏声に逃げてもだめ。 では、何が必要なのか。 私は、まず「息の流れが安定していること」が先だと考えています。 高音に入る前から、丹田のあたりに少し力が入り、呼吸を支えられているか。 声を出す前から、息の流れが起きているか。 

 

ここが不安定なまま声だけをいじろうとすると、喉に余計な力が入ります。 息が安定すれば、喉だけで頑張る必要が減る。 すると喉頭が安定し、声帯がその音に合わせて細かく反応しやすくなります。 この順番が大事です。 声帯を閉じる前に、息の流れがあるか。 高音を狙う前に、呼吸を支えられているか。 ここを飛ばして「もっと閉じる」「もっと混ぜる」と考えると、声は強くなるどころか、喉に力が入るだけになってしまいます。 

 

丹田に力が入りにくい方は、丹田に力が入らない方へ|丹田に力を入れる方法と確認のポイントで確認できます。

【ミックスボイスは「作る声」ではなく、保たれている状態】

最後に、いちばん伝えたいことを。 ミックスボイスは、地声と裏声を混ぜて「作る」特別な声ではありません。 低い音から高い音へ動くなかで、息の流れが安定し、喉頭が安定し、その上で声帯が細かく反応する。 

 

その結果として、地声から裏声へ急に切り替わらず、声が無理なく保たれている。 その状態を、ミックスボイスと呼んでいるだけなんです。 歌っている本人は、「混ぜた」というより、声がその音に合わせて自然に変わっていく感覚に近いかもしれません。

 

 聞いている側には、急に裏返らない、急に弱くならない声として届きます。 だから、もしミックスボイスが分からなくなっているなら—— 一度、「混ぜる」という考え方から離れてみてください。😊 見るべきは、地声と裏声の割合ではありません。 声を出す前から、息の流れが起きているか。 丹田のあたりで、呼吸を支えられているか。 そこから、声は変わっていきます。 

 

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「力を抜いて」も、声は変わらない

ボイストレーニングを受けていると、一度は「もっと力を抜いてください」と言われたことがあるかもしれません。

歌っているときに喉に余計な力が入る。高音に入ると苦しくなる。声が詰まる。息が続かない。こうした悩みがあると、「力を抜くこと」が大切だと考えやすくなります。

もちろん、喉に余計な力が入ったまま歌うのはよくありません。喉だけで声を無理やり出そうとすると、声は出しにくくなります。音程も取りにくくなり、声が不自然になることもあります。

ただ、ここで一つ難しい問題があります。

それは、「力を抜こう」としているのに、声が変わらないことがあるということです。

むしろ、力を抜こうとするほど声が弱くなり、息の流れが不安定になる。高音に入ると、さらに声が頼りなくなる。そんな経験をした方もいるはずです。

この場合、問題は「まだ力が抜けていないこと」だけではありません。

力を抜くことばかりを意識した結果、声を出すために必要な筋肉まで働きにくくなっている可能性があります。

声は、何もしないことで良くなるものではありません。喉に余計な力が入らないことは大切です。しかし同時に、息を流すための呼吸器官、声帯を細かく働かせる喉頭筋も必要です。

ここで大切なのは、余計な力を入れないことと、必要な筋肉が働くことの両方です。

この違いが分からないまま「力を抜くこと」だけを追いかけると、声はかえって不安定になることがあります。

良い発声に必要なのは、ただ力を抜くことではない

喉に余計な力が入らないことは大切です。

喉だけで声を無理やり出そうとすると、声は硬くなりやすく、息の流れも不安定になります。高音に入ると苦しくなったり、声が細くなったりすることもあります。

ただし、そこには一つ注意点があります。

声を出すためには、働くべき筋肉があるということです。

声は、息が流れ、その息に声帯が反応し、共鳴腔を通ることで形になります。つまり、声を出す時には、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働く必要があります。

この働きが弱いまま、ただ力だけを抜こうとすると、声を出すための息の流れが弱くなります。すると、声帯が細かく反応するための条件も作りにくくなります。

その結果、声は楽になるどころか、弱くなることがあります。

「力を抜いているのに、声が届きにくい」

「リラックスしているつもりなのに、歌うとぎこちなくなる」

「喉に余計な力を入れないようにすると、息が続かない」

こうした状態は、単に力が抜けていないのではなく、必要な筋肉が必要なタイミングで働いていない可能性があります。

小谷メソッドでは、良い発声を「力が抜けた状態」とは考えません。

大切なのは、余計な力が入らない状態で、必要な筋肉が働くことです。

特に重要なのは、呼吸器官と喉頭筋のつながりです。息の流れが安定していると、喉だけで頑張らなくても声が出しやすくなります。反対に、息の流れが不安定だと、喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。

「力を抜く」は、発声を良くするための一つの条件です。

しかし、それだけでは足りません。

良い発声には、抜く力と、働く力の両方が必要です。

喉だけで声を無理やり出してしまう理由を知りたい方は、喉で歌わない方法|喉で歌ってしまう原因と改善法も参考になります。

声は、必要な筋肉が必要なタイミングで働くことで作られる

声は、喉だけで完結するものではありません。

まず息が流れ、その息によって声帯が振動します。そして、声帯で生まれた原音が、咽頭腔や口腔を通ることで、声として聞こえる形になります。

この流れだけを見ると、声はとても単純に思えるかもしれません。

しかし実際には、息を流す呼吸器官、声帯を働かせる内喉頭筋、喉頭の位置に関わる外喉頭筋、口の開きや舌の動きなどが、同じ目的に向かって働いています。

だから発声では、「どこか一つをゆるめれば良い」という話にはなりません。

たとえば、喉に余計な力が入っている方が、喉だけをゆるめようとしたとします。すると、一時的に楽になったように感じることはあります。

けれど、呼吸器官が十分に働いていなければ、声を出すための息の流れは不安定なままです。

息の流れが不安定になると、声帯も安定して振動しにくくなります。声帯は、息の流れに反応して細かく動く器官です。そのため、息の流れが弱すぎたり、急に強くなったりすると、声帯が細かく反応する状態を作りにくくなります。

その結果、声がかすれる、細くなる、音程が取りにくくなる、高音に入ると苦しくなる、といった状態が起こりやすくなります。

このとき、喉だけに原因があるように感じるかもしれません。

しかし実際には、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働けていないことが関係している場合があります。

声を出す時に、丹田を意識して呼吸器官が働く準備を作ると、息の流れが安定しやすくなります。息の流れが安定すると、喉だけで声を無理やり出そうとする必要が少なくなります。

ここで大切なのは、強い息を出せば良いということではありません。

息の流れは、強ければ良いわけでも、弱ければ良いわけでもありません。歌の中で必要な分だけ流れ、必要な長さだけ続くことが大切です。

たとえば、高音に入る時は、ただ力を抜けばよいわけではありません。

音の高さだけを狙って喉だけで声を出そうとすると、喉に余計な力が入りやすくなります。反対に、力を抜きすぎて呼吸器官が働かないと、声帯が反応するための息の流れも不安定になります。

つまり、高音に入る時ほど、余計な力を入れないことと、必要な筋肉が働くことの両方が必要になります。

小谷メソッドで丹田を大切にする理由も、ここにあります。

丹田を意識するのは、ただお腹に力を入れるためではありません。呼吸器官が働く準備を作り、息の流れを安定させるためです。

息の流れが安定すると、喉頭筋はその流れに合わせて働きやすくなります。声帯が細かく反応することで、声は無理に作らなくても出しやすくなります。

良い発声とは、喉だけが頑張っている状態ではありません。

また、全身の力が抜けて何も働いていない状態でもありません。

必要な筋肉が、必要なタイミングで働いている状態です。

その状態に近づくほど、声は身体の働きに合わせて出てくるものになっていきます。

丹田と呼吸器官の働きを詳しく知りたい方は、なぜ丹田はボイストレーニングで重要なのか?も参考になります。

自然体とは、だらんとした状態ではない

ここで、「自然体」という言葉について考えてみます。

発声で自然体と聞くと、力が抜けている状態を思い浮かべる方は多いと思います。肩の力が抜けている。表情がこわばっていない。喉に余計な力が入っていない。たしかに、こうした状態は大切です。

しかし、自然体とは、ただだらんとしている状態ではありません。

歌う時の自然体とは、声を出す要求に対して、身体がすぐ応えられる状態です。

たとえば、ボールを投げる動きを考えると分かりやすいです。

良い球を投げる時、全身の力を抜けばよいわけではありません。肩に余計な力が入ると、腕はスムーズに動きにくくなります。けれど、脚、胴体、腕、指先まで力が抜けきっていたら、ボールは遠くへ飛びません。

大切なのは、余計な力は入らないことです。けれど、必要な場所は必要なタイミングで働く必要があります。

発声も同じです。

喉に余計な力が入るのはよくありません。けれど、呼吸器官まで働かない状態になれば、息の流れは不安定になります。息の流れが不安定になれば、声帯も反応しにくくなります。すると、声は弱くなったり、細くなったり、高音に入ると不安定になったりします。

つまり、自然体とは「何もしない状態」ではありません。

自然体とは、余計な力が入らない状態で、声に必要な働きがすぐ起きる状態です。

この違いは、とても重要です。

「力を抜くこと」が目的になると、身体を働かせることまで避けてしまう場合があります。すると、声を出すための息の流れが足りず、結局、喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。

一方で、自然体を「必要な筋肉が必要なタイミングで働ける状態」と考えると、見る場所が変わります。

喉に余計な力を入れないことだけを見るのではなく、丹田を意識して呼吸器官が働く準備を作る。息の流れが安定した上で、喉頭筋がその流れに反応する。

ここまで見ていくことで、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働いているかを確認しやすくなります。

小谷メソッドでいう自然体は、ただ楽な姿勢になることではありません。

声を出す時に、丹田、呼吸器官、喉頭筋が一つの流れとして働きやすい状態です。

その状態では、喉に余計な力が入りにくくなります。なぜなら、喉だけで頑張る必要が少なくなるからです。

力を抜くことは大切です。

ただし、それは自然体の一部であって、自然体そのものではありません。

自然体とは、余計な力を入れずに、必要な力が働いている状態です。

発声器官が一緒に働く考え方を深く知りたい方は、フースラー「歌うこと」解説③ 第3章「発声器官の統一」を徹底解説も参考になります。

脱力だけを目標にすると、声が不安定になることがある

ここまで見てきたように、発声において力を抜くことは大切です。

喉に余計な力が入ったまま歌うと、声は出しにくくなります。音の高さだけを狙って高音に入ると、喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。そうなると、息の流れが不安定になり、声も不安定になります。

ですから、「力を抜く」という言葉には意味があります。

ただし、ここで注意したいのは、力を抜くことだけを目標にしてしまうことです。

力を抜くことだけを目標にすると、必要な筋肉まで働かない状態になることがあります。

たとえば、「喉に力を入れてはいけない」と考えすぎると、声を出すこと自体が慎重になります。声を届けようとすることを避ける。息の流れを作ることを避ける。高音に入る時も、怖がって声を小さくする。

その結果、喉に余計な力は入っていないように感じても、声は弱くなります。歌の中で声が無理なく保たれている時が少なくなります。

これは、力が抜けた良い状態ではありません。

声を出すための働きまで弱くなっている状態です。

この違いは、とても大切です。

呼吸器官が働かないまま声を出そうとすると、息の流れが安定しません。息の流れが安定しないと、喉頭筋もその流れに合わせて働きにくくなります。

すると、最初は力を抜こうとしていたはずなのに、歌っている途中でまた喉に余計な力が入りやすくなります。

つまり、力を抜くことだけでは、喉に余計な力が入る理由まで変わらないことがあります。

大切なのは、喉の力を抜くことだけではありません。

なぜ喉に余計な力が入っているのかを、呼吸器官と喉頭筋の関係から見ていくことです。

声を出す時に、呼吸器官が働いていなければ、喉は不足した働きを受け持とうとします。息の流れが不安定なままでは、喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。

だから、私は「力を抜きましょう」だけでは不十分だと考えています。

もちろん、喉に余計な力を入れたままでよいという意味ではありません。

余計な力は減らす必要があります。

しかし、それと同時に、丹田を意識し、呼吸器官が働く準備を作り、息の流れが安定する状態に近づける必要があります。

力を抜くことは、発声を良くするための入口にはなります。

けれど、出口ではありません。

目指すべきなのは、力が抜けた声ではなく、余計な力を入れずに、必要な筋肉が働いている声です。

その状態に近づいた時、声はただ軽くなるのではなく、安定し、届きやすくなり、歌の中でも保ちやすくなります。

力を抜くより、声を出せる身体の状態を作る

「力を抜いているつもりなのに、声が変わらない」

この悩みがある時は、力を抜くことだけを見続けるより、声を出せる身体の状態になっているかを確認することが大切です。

喉に余計な力が入らないことは、もちろん必要です。けれど、それだけでは声は作られません。

声は、息が流れ、声帯が反応し、共鳴腔を通って整います。そのためには、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働く必要があります。

もし力を抜いても声が変わらないなら、まず確認したいのは、呼吸器官が働く準備ができているかです。

声を出そうとした時に、息を止めたまま喉だけで声を出そうとしていないか。丹田を意識した時に、呼吸器官が働きやすい状態になっているか。息の流れが安定した中で声を出せているか。

ここを見ずに、喉だけをゆるめようとしても、声は変わりにくいです。

呼吸器官が働かないまま声を出すと、息の流れが不安定になります。息の流れが不安定になると、声帯の反応も不安定になります。すると、結局また喉だけで声を無理やり出そうとしやすくなります。

だから、小谷メソッドでは、ただ力を抜くことを目的にしません。

丹田を意識し、呼吸器官が働く準備を作り、息の流れが安定した状態で声を出すことを大切にします。

この時の丹田は、ただお腹に力を入れるためのものではありません。呼吸器官が働く準備を作るために使います。

丹田を意識すると、呼吸器官が働く準備がしやすくなり、息の流れも安定しやすくなります。息の流れが安定すると、喉頭筋もその流れに合わせて働きやすくなります。

その結果、喉だけで頑張らなくても、声を動かすことがしやすくなります。

これが、私の考える自然体です。

自然体とは、力が抜けきった状態ではありません。

余計な力が入らない状態で、必要な筋肉が必要なタイミングで働いている状態です。

声が変わらない時、「もっと力を抜かなければ」と考える方は多いです。

けれど、本当に必要なのは、さらに力を抜くことではないかもしれません。

必要なのは、声を出すために働くべき場所が働いているかを確認することです。

喉に余計な力を入れない。けれど、呼吸器官は働く。息の流れが安定し、その流れに声帯が反応する。

この状態に近づくほど、声は無理に作るものではなくなります。

「力を抜いて」ても、声が変わらない理由は、力が抜けていないからとは限りません。

必要な筋肉が、必要なタイミングで働いていないからです。

だから、目指すべきなのは、ただ力を抜いた声ではありません。

余計な力を入れずに、呼吸器官と喉頭筋が一緒に働いている声です。

そこに近づいた時、声は弱くなるのではなく、安定し、届きやすくなり、歌の中でも保ちやすくなります。

 

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「ボイトレを始めてから、普段の会話でも喉が疲れにくくなった」——
こうした声を、私の教室の生徒さんからよく聞きます。

歌の練習として始めたはずが、日常の声にも変化を感じる方は少なくありません。

結論:丹田の使い方が定着すると、話し声にも自然と表れてくる

こうした変化が出るのは、丹田を使った発声が定着して、歌う時だけでなく普段の話し声にもその使い方が自然に出るようになるからです。

歌だけでなく話し方まで含めて丹田発声の変化を知りたい方は、丹田発声について|呼吸法を整えて舞台・歌・話し方が劇的に変わる理由も参考になります。

自転車と同じ——体が覚えると意識しなくても使えるようになる

これは自転車に似ています。最初は意識しないと乗れませんが、繰り返すうちに体が覚えて、毎回考えなくても自然に乗れるようになります。

丹田を使った発声も同じです。繰り返すことで体に定着し、意識しなくても自然に使えるようになります。
すると、歌う時だけでなく普段の話し声にも、その使い方が自然と出てくるのです。

もちろん定着するまでの時間には個人差がありますが、続けることで確実に体は変わっていきます。

まとめ

✔ ボイトレで身につけた発声は、歌の場面だけで終わらない
✔ 続けることで体に定着し、普段の話し声にも自然と表れてくる
✔ 「歌の練習なのに、日常の声まで楽になった」という変化を体感できる

歌の練習で身につけたことは、あなたの声全体を変えていきます。
ぜひ続けることで、その変化を実感してみてください。

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「地声で全部歌おうとしてしまって、裏声がうまく出ない」——
こうしたお悩みを抱えている方は、多いのではないでしょうか。

実際、私の教室にも、最初は地声しか出なかった方が、半年ほどボイトレを続けて裏声を出せるようになったケースが少なくありません。

結論:喉の余計な力が抜けると、裏声は出せるようになる

歌っているときに喉の余計な力が入らなくなると、裏声は出せるようになります。

なぜ喉の力が裏声の邪魔をするのか

裏声を出すとき、喉に余計な力が入ると声帯まわりの動きが固くなり、裏声に必要な喉の状態を作りにくくなります。その結果、裏声は出にくくなってしまいます。

反対に、喉の余計な力が抜けると、声帯は無理なく伸びたり薄くなったりしやすくなります。
すると、裏声に必要な状態が自然と作れるようになり、裏声がスムーズに出せるようになるのです。

喉に余計な力が入る状態と発声の関係を詳しく知りたい方は、喉で歌わない方法|プロが教える喉が楽になる発声法も参考になります。

解決策:丹田を意識したボイトレで喉の力を抜く

では、どうすれば喉の余計な力が抜けるのでしょうか。

私の教室では、丹田を意識したボイストレーニングをおすすめしています。

丹田を意識した発声を続けることで、喉だけで歌う状態が少しずつ減っていきます。
その結果、喉の余計な力が抜けて、裏声に必要な状態を作りやすくなっていきます。

もちろん変化のスピードには個人差がありますが、続けることで確実に体の使い方は変わっていきます。

丹田を意識した発声で体の使い方がどう変わるのかは、丹田を意識して歌が上手くなる!歌唱力を引き出すボイストレーニングで詳しくわかります。

まとめ

✔ 喉の余計な力が入ると、声帯が固くなり裏声が出にくくなる
✔ 喉の力が抜けると、声帯が伸びやすくなり裏声に必要な状態が作れる
✔ 丹田を意識したボイトレを続けることで、少しずつ体の使い方が変わっていく

最初は地声しか出なかった方でも、体の使い方を整えていけば、少しずつ裏声は出せるようになります。

「自分には裏声は出せない」と諦めていた方も、ぜひ体の使い方から見直してみてください。

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