GBC版♯2洞窟3Fにて

 
その一角には不吉な気配が漂っていた。しかも一歩進むごとにどこからともなくかすれた、にもかかわらず、妙にはっきりと耳に届く声があった。
 
その声が、
「墓場は暗く…」
「罠は時を刻みしもの…」
と言う程度ならともかく、
「この先は行かぬが得策。さもなくば…」
となるとさすがに皆が不安になってきていた。約一名を除いてだが。
 
エギル「おい、キリト!これ以上進んだらヤバそうだ!引き返すぞ!」
キリト「何だよエギル?それじゃあマップが埋まらないだろ?」
クライン「おいおい、キリの字よお!さっきから何度も不穏な言葉が聞こえてるだろ?こりゃ明らかにフリじゃあねえぞ?」
キリト「いや、だから引き返したらマップが埋まらないんだ!避けられない戦いがここにあるんだ!」
アスナ「ダメだよキリトくん!もしここで全滅なんて事になったらどうするの?私達をここまで助けに来れるレベルにはまだ他の誰も達してないんだよ!」
シリカ「そうですよキリトさん!ここで罠にはまって全滅した日には蘇生費用が半端なくかかりますよ!」
リーファ「お兄ちゃんやめて!お願いだから!」
キリト「…な、何か今のセリフで、変な扉が開きそうな…、あ、いやいや判ったよ!皆がそう言うなら仕方が無い…」
 
そうして彼らは道を引き返した。
その後、情報屋のアルゴから
「ああ、洞窟3Fの北東部カ?あそこは進むと石の中に突っ込んじまって、即座に全滅になるんダ!良かったナ、引き返しておいて!」
と聞き、一堂はほっと胸をなで下ろしたものだったとさ。