ってな訳で、電子書籍版の
天使たちの課外活動3 テオの日替り料理店 (C★NOVELS)/中央公論新社
¥600
Amazon.co.jp

を読みましたよ。紙の本に遅れておよそ1ヶ月後の本日ようやく配信されましたので。上記のリンクはアマゾンのKindle版ですが、電子文庫パブリやhontoなど、各電子書籍サイトで本日配信開始のようです。ちなみにおれは常連のhontoで買いましたが。

なじみの店でサリザンやルゥを交えて、今度の学校の社会体験学習で何をやろうか相談していたリィとシェラは店主から、「だったら自分の知り合いの飲食店に協力して欲しい」と頼まれる。
その店に行ってみると店とマスターの身なりは不潔極まりなく、マスターに愛嬌はゼロだったが、料理だけは神に愛されているとしか思えないほど素晴らしかった。マスターの事情なども聞いて、二人はむしろ乗り気になって店を手伝い始めるが、店の繁盛を望まない複数の人物からの横槍が入って・・・。

ってな話。

一流の料理人というと、うみねこの郷田さんを思い出す人もいるかもしれないけど、あんなうっかり者wとは全然比べものにならない。人間国宝級の彫刻家が「木がどんな風に彫って欲しいか自分に語りかけてくる」とか言ったりするけど、まさにそれの料理人版。仕入れに行って見つけた食材がどんな料理にして欲しいかと語りかけてくる声に合わせてメニューを変えるって程度にとどまらず、ある時は大衆食堂風、またある時は民族料理店風、さらにある時はフルコース料理を出す高級食堂風と、全くスタイルまで変えてしまうのだそうだ。彼の奥さんが健在だった頃は、店の食器や調度品までそっくりそのまま料理に合わせて変えてすらいたそうだ。

どうにも茅田さんの作品ではそら恐ろしいほどのプロフェッショナルってものが幾人も登場するけど、彼もその域だと思います。200年もののアンティーク食器に料理を盛って、この料理では確かにこの食器でなければふさわしくないと思わせるなんて事が他の誰に出来ることか。

それ程の料理の神に愛された料理人を、愛する家族を奪ったからなんてだけの理由で、彼の料理を口にもせず、憎み続けてきた人達がいるなんてね・・・。

中島みゆきの歌の歌詞で言うならば、

何て無駄な日々、返してと、誰を責めればいいの?

って感じですね。

でも、それをもってしても消えないわだかまりを溶かしてくれたものは、機械にそれほど強くないはずのリィが見つけたあるものだった。本当にリィが見つけるなんて意外でしたが、たまたまあの機械に触れる機会が多かったせいって事なのかな。

何にしても、今回も素晴らしい物語でした。またしても至福の時を味わうことが出来たよ。これだから、茅田さんの作品を読むことはやめられないんですよ。判らない人には本当に判らないことかもしれませんけどね。