『ONE PIECE FILM Z』について言うならば、

標的、全海賊。

と言うより、

標的、新世界。

と言う方が合っているような気がします。


あ、前回はネタバレあるぞあるぞと言っといて実はほとんど無かったけど、今回はバッチリあるので、未見の人は今度こそお引き取り願います。






今回の敵、NEO海軍のゼットは海賊を憎んでいるから、新世界と呼ばれる海にいる全海賊を殲滅する為に新世界を丸ごと破壊するつもりみたいですが、当たり前ですが新世界にも一般人だって住んでる訳で、一般人の犠牲をも厭わない苛烈さを表現するなら、

標的、新世界。

の方がいいんじゃないかと。

実際、あの映画の中でゼットが麦わらの一味以外の海賊と戦ってるシーンはほとんど無いし、むしろ海軍ともたくさん戦ってる訳だし。


それにしても、また出ましたね。世界政府の真実隠蔽。

新世界にはエンドポイントと呼ばれる巨大なマグマだまりが3箇所存在していて、それを全て破壊すると、マグマが海底の地脈を駆け巡って、新世界全体が爆発炎上する。

そんな学説があって、世界政府が調査に乗り出して、その結果事実無根のトンデモ学説と発表されたけれど、本当はそれは真実だと確認されているんだそうだ。海賊に知られて利用されたらえらい事になると真実は隠されたそうだけど、隠蔽した理由は本当にそれだけか?と邪推したくもなるね。いざとなったら本当に、四皇が君臨するあの海を丸ごと葬るつもりもあったんじゃ無いの?赤犬辺りは、別にゼットの計画が成功してもいいんじゃないかとか思ってたんじゃないの?ジュエリー・ボニーの身柄確保程度にすら自分で出向く(あわよくば黒ひげ一味をも捕らえるつもりもあったかもだけど)フットワークの軽い赤犬が、何で今回は大将任せにして、自分は動かなかったんだ?とか思ってしまうんだけど。


青キジが赤犬とのパンクハザードでの決闘で負った痛手は想像以上でしたね。傷跡が残ってるのは無理もないけど、まさか片足の足先がなくなっているなんて。

結局、アレなのかな。

正義の信念を徹底しすぎるとやり過ぎが生まれるからある程度手を抜いておこうと言う「だらけた正義」を標榜する青キジにとって、「徹底的な正義」を掲げて犠牲も顧みない赤犬が海軍元帥の座に就くのは容認できなかったんだろう。でも、だからといってかつての同輩を力ずくで倒すのはそれは「だらけた正義」から逸脱してるんじゃないか?とかほんの少しだけ考えてしまって矛先が鈍ったんじゃないだろうか?だから逆に全く何の迷いもない赤犬がかなりやり過ぎな形で勝利を収めてしまったんではないだろうか?

その後、青キジは更に迷いが生まれたんだろうね。「だらけた正義」とは言え、時には徹底的に正義を完遂するべきなんじゃないのか?それが信念を貫くって事なんじゃないかと。

そして、世捨て人をやってる間に、海賊殲滅の信念を過剰なまでに貫こうとするゼットが登場してくる。それに対峙する存在として、自分が完膚なきまでに負かしておきながらも信念を折れなかった麦わらの一味を思い出す。この両者の信念のぶつけ合いを通して、青キジは今後自分がどのように信念を貫いていくべきなのかのヒントを見つけたかったのではないだろうか?

青キジは果たしてヒントを見つけたのかどうか?おれにはよく判らなかったわ。とりあえずゼットの最期は見届けた。後はそれを反芻しながらこれから答えを出していく事になるんじゃないかと思うよ。


これはおれの意見なんだけど、

おれはおれの好きなようにやる。でももしかすると他人に迷惑かけてるかも。

と言うのと、

他人に迷惑がかかろうとお構いなしで、おれはおれの好きなようにやる。

って言うのは、似ているようで明らかに違う気がする。

前者はちょっと内省しなさすぎだ!って気もするけど、後者は内省してはいるけど、それをかなぐり捨ててる確信犯だもんな。

見ていて気持ちいいのは絶対に前者の方だと思うし。

おれとしては青キジには、

怪獣が街に現れたからと言って街でそのまま戦うウルトラマンみたいではなくて、

誰にも迷惑のかからない荒野に移動して決着をつけようとするドラゴンボール戦士みたいになって欲しいなあ

と思うんだけど。

む?判りにくい?


あと、9年前にゼット(その時はまだゼットとは名乗ってないけど)の演習船を襲い、ゼットの右腕と彼の教え子のほとんどの命を奪って、1年前に新たに七武海入りした海賊って誰なんだろうね?

そもそも今って誰が七武海に残ってるんだっけ?
おれの記憶が確かならば、

バーソロミュー・くま
ボア・ハンコック
ジュラキュール・ミホーク
ドンキホーテ・ドフラミンゴ

の4人はガチで残ってるよね?

サー・クロコダイル
ゲッコー・モリア
ジンベエ

は脱退乃至は除名と。

クロコダイルの代わりに加入した
黒ひげマーシャル・D・ティーチも脱退し、今は白ひげに代わって四皇の一角と目されると。

だから七武海の空席は3つ。

その内の一つをトラファルガー・ローが埋めたのは判明してるけど、

残り2つは不明だ。

どうもキャプテン・バギーが新たに七武海になりそうな感じもするけど、定かじゃないし。

でも、ローが果たして演習船なんかを襲ったりするか?敵と見定めた相手には容赦しないだろうけど、基本的に筋の通らない事をするヤツには見えないし、9年前だと相当幼かったんでは?

バギーは9年前にも現役だっただろうけど・・・弱いよな、決定的に。武装色の覇気の達人から片腕を奪えるほどに強いとは思えないw それにハデ好きだけど、非道はあんまりしそうに無いし。

ロー以外の「キセキ最悪の世代」もみんな大体若いしな。その中ではカポネやウルージは歳いってるっぽいけど、実力や性格から言うと違う感じがする。

と、なると、結構昔から活躍してるけど、いまだ物語にはちゃんとした形では登場していない海賊って事になるのかな。劇場でもらった第千巻では小さくシルエットでしか書かれてないし、ひどく特徴のないシルエットに見えるし。

一方では謎が解けながらも、また一方では新たな謎も生まれた今回の映画でした。