茅田砂胡さんの新作『トゥルークの海賊』第一巻がついに発売されましたね。何とここ数年滅多にない事でしたが、俺の最寄り駅前の凡庸な書店にも発売日の今日ちゃんと売っていました。mixiの書き込みによると東京神田神保町の高岡書店には23日から入荷してたそうですが、ここしばらく発売日が遅れないってことがなかっただけに、行こうって気にもなっていませんでしたよ。この調子でちゃんと発売してくれるようならおれだって今後は発売日前の高岡書店にカチコミをかけたいところですが。

怪獣夫婦にマヌエル一世から調査の依頼があった。最近、上流階級の間に危険な薬物が流布し始めていて、その原料が宗教上の理由からひどく閉鎖的な惑星トゥルークのものであり、その周辺に正体不明の宇宙海賊が暗躍していると。
その惑星に乗り込んでみると、還俗した元高僧夫妻の僧籍復帰問題、その夫妻の娘の結婚問題などが持ち上がっていた。そして、怪獣夫婦の前に現れた海賊たちは、決して名乗ってはいけないはずの名前を名乗った。

ってな感じのストーリーですね、今回は。第一巻なので、もちろん今回だけでは終わりません。九月に『もものき事務所』の続きが出て、その次のようです。・・・九月?早すぎない?と思いますが。

どうもヨリモバとかいう携帯サイトでは今回の話の序章に当たる短編が発表されていたらしいですね。おれは携帯サイトってものが好きじゃないし、いずれは本に収録されるからと高をくくって未読でしたが、どうも今回だけは読んでおいた方がすんなりと話が通じたっぽいです。だけど、GalaxySIIIを買った事でiモード携帯やめちまったから読めないや。スマホの携帯ブラウザも試したけど、どうやら読めないみたいだし。残念無念。

どうもなあ、問題の薬物の情報はきっと高僧夫婦の娘から漏れてるっぽいよな。あそこの三人兄弟は高僧への階段を駆け上ってる末っ子はもちろんとして、長男も長女もなかなかなんだけど、長女が付き合ってる男は、ちょっとどうしようもないし。おれもこの年齢になってるから、大抵の場合は結婚相手のご両親はおれと同年代かおれより年下の可能性が高いから、「てめえ、その歳でよくも俺等の大切な娘に手を出してくれやがったな」と相手の両親に絶対に言われると思うんで、挨拶しに行くなんて想像しただけでも恐ろしいけど、それでもいざとなったら覚悟を決めて挨拶をしなきゃいけないと思ってる。それを娘の彼氏は結婚しようとしてるのに、両親への挨拶をしないままで済まそうと思ってるだなんてねえ。その上、成績優秀な大学生の彼女を今すぐにでも学校やめさせて結婚しようとしているらしいし。そんな程度の男なら、余りよろしくない筋の友人に彼女から知り得た情報をうっかり漏らしていても不思議じゃない気がします。

最後に出てきた海賊たちは・・・莫迦ですね。

莫迦の国から莫迦を広めにやって来た莫迦。

って言い回しがあるとしたらまさにそれです。その世界では他人が戯れだとしても決して名乗ってはいけない、永久欠番にも等しい名前ってものがあるはずなのに、それをほとんど全部騙ってしまうとは。その名を口にする資格すら怪しい雑魚どもなのにね。おれの読みだと11月か来年の3月辺りに出るであろう第二巻の100ページあたりまででこの莫迦たちは完全にとどめを刺されて、第二巻の残りは書き下ろしの中編と、今回の話の序章が掲載される事でしょう。

ほぼ15年ほどこの作者の新刊が出る度に読み続けてます。一時はエンドレスすぎる事に恐くなって距離を置こうとした事もありましたが、結局この作者の作品無しには生きていけない事を悟りました。きっと今後も読み続ける事でしょう。

無論、死ぬまで。