そんな訳ですったもんだの末、やっと茅田さんの新作『祝もものき事務所』をゲットしました。多分、首都圏の大抵の大書店では明日には入荷していそうな気がします。
主人公は、駄犬か、さもなければダメ人間としか表現できない。
本当にやる気がないというか、そもそもこの人にやる気というものを求めるのが無理な気がする。この人にとって依頼は即座に断るか、断りにくいかだけで、基本断るものらしいし。生活にも困っている訳じゃないそうだし、あの非常に恐ろしい女性達の存在が無ければ、本当にこの人仕事しなさそうだ。
しかし、いざ結果的に依頼を受けると、あのことわざを地でいくようなことになる。
見事に棒に当たるのだ。しかもひどく見当外れな場所で。
そして、彼が何にもしなければ日の目を見ることがなかったはずの真実が掘り返され、有罪確実の裁判が見事に覆る。
でも、こんなものを決して名探偵と呼んではいけないだろう。
伊集院大介がどれだけヘタレっぽかったとしても、
御手洗潔がどれほど奇矯に見えたとしても、
彼らはどんな事件でも見事な推理を披露している。
しかし、彼がしたことと言えば、棒に当たることと、美人秘書に足をつねられるような失言くらいだ。
だからあえて言おう。駄犬であると。
しかし、本当に世の中にはとんでもない人たちがいるものだ。どう考えても異常なのに、自分たちはそれに気付きすらしない。自分はあくまで善意で行動しているんだと思い込み、他者を縛り、歪める。本当は興味がないんだったら構いつけなければいいのにね。しかもあの明らかに曰くありげな地名を疑問に思わずに突進していくとは。ある意味ヤンデレではあるけど、ヤンデレにも品格というものがあると思うんだよね。彼らには薬にしたくもそれがないよ。
まあとりあえず、この作品の登場人物はそれぞれにふさわしい結末を迎えたみたいで、おあとがよろしいようでと言う感じですかね。もしこの話が続くとしたら、最後に話にだけ出てきた悪魔みたいな犯罪者が続編に登場することになるんですね。そして正体不明のままだったあの人物も多分。それは見てみたいような、見るのが恐いような・・・。