「瞬考」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

 

 

「瞬考」(山川隆義)

 

 

仮説構築力を高めるための裏技とか近道はない。とにかくインプットだ。それも、関わっている業界の最新情報だけではなく、縁のなさそうな業界、ずいぶん古い歴史、それらから得られる豊富なケーススタディ、に範囲を広げることが重要。

 

インプットを積み重ねるというのは地道な作業ではあるが、仮説構築力はインプットの量に対し、1次関数的にではなく、指数関数的に高まると思う。

 

 

著者が強くおすすめの『会社四季報』丸暗記。最初目にしたときは、「そんな無茶な」とも思ったが、確かに企業のエッセンスが同一フォーマットでコンパクトにまとめられ、あらためて眺めていると気づきも結構ある。丸暗記は大げさとしても、すきま時間に(すきま時間じゃなくても)、興味のある業界や会社に(もしくは適当に開いたページの会社に)パラパラ目を通すだけでも、効果的なインプットになるかもしれない。

 

 

 

以下、備忘

 

 

 
AIをうまく使いこなすためには、
「何をやるか」という目的の設定が重要となる。
目的の設定のためには、
「何が課題か?」を把握する仮説スキルが求められる。
 
目的と課題を明確にしたうえで、
それをAIに指示すれば、
あとはAIが瞬時に「答え」を出す。

AI時代は、仮説時代、になるはずだ。

仮説を一瞬ではじき出す思考法。
それが「瞬考」である。

 


[1]求められる仮説とは「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を捻り出すこと
[2]仮説構築をするためには、事象が起きたメカニズムを探る必要がある。メカニズム探索では、「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」そして、その事象が起きた「背景」を意識する
[3]導き題した仮説を「メカニズム」として頭のなかに格納し、それらをアナロジーで利用する
[4]事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
[5]「一を聞いて十を知る」人ではなく、「一を聞いて十を調べる」人が仮説を出せるようになる
[6]あらゆる局面でエクスペリエンス・カーブを意識する



★知っていることは、すぐに思いつける。それが瞬考実践の第一歩

『会社四季報』10年分丸暗記。

たくさんの事象や事例をパターン化して頭に格納していると、仮説が湧きやすい。



★仮説構築力の源泉となるのはインプット。アナロジーによってメカニズムを発見し、蓄積していくことが重要

アナロジーとは、ある事象、事物、自分の知識や経験を「何か似ているもの」にたとえること。一見無関係な二つのものを見つけて、そこに関係性を見つけること。
一見、別のことと思える二つのものに共通のメカニズムが隠れていることは、よく存在する。

メカニズムはいくつもの構成要素の因果関係によって作り出されている。
メカニズムの構成要素は3つ。①過去に行ってきた活動の累積、②取り巻く環境(社会、競合、自分の能力)の変化、③現状の打ち手、これらの結果が「現在起きていること」。過去うまくいっていたのに、現状うまくいかなくなっているとすると、②と③がミスマッチしている可能性あり。

メカニズムのパターンを多数インプットし、頭に入れていると、アナロジーによる思考が働き出す。



★瞬考を行うには、インプット、インプット、インプット



★教養を深める方法は、「一を聞いて十を調べる」こと

経験をたくさん積むほどに仕事の効率がよくなる。2倍の経験をしたらコストが80%になる(効率が2割よくなる)、4倍ならコストは64%、というのがエクスペリエンス・カーブの典型例。

「一を聞いて十を調べる」習慣を継続していけば、まったく別のものだと思っていた複数の事柄が急速につながりを持って考えられるようになるタイミングが、ある日、突然やってくる。



★「歴史の横軸」と「業界知識の縦軸」の二軸でインプットの土台を固めると、大きな気づきを発見することができる。

「これはもしかしたら、あの話と根っこは同じなのではないか?」

異業種の共通部分を抉(えぐ)り出すことができれば、業界横断のメカニズムを発見できる。

新興企業のビジネスモデル把握に『会社四季報』活用。どのようなビジネスモデルなら継続性があるのか。

グロース市場に上場している企業の時価総額が大きい順に、ビジネスモデルを確認。



★これからは、ビジネスプロデューサーの時代

昭和はサラリーマン全盛の時代。平成はスペシャリストの時代。
しかし、スペシャリストが増えた今、もはやコンサルタントも会計士も弁護士もかつてよりはるかにコモディティ。
世の中がネットでつながり、情報が透明化されつつある。仕事の指名は各分野のスペシャリストもトップ層に集中するはず。

人々がつながったこれからの時代は、誰にどのような能力があり、どのようなことが得意かを把握して、物事の実現に向けて、最適な人を集め、実行をプロデュースする「ビジネスプロデューサー」が求められる。

ビジネスプロデューサーには、人間特性を見抜く能力が必要。

ビジネスプロデュースは、信頼がすべて

どうすれば信頼が生まれるのか。信頼は「一生懸命さ」から生まれる。




[1]求められる仮説とは「相手が知らなくて、かつ、知るべきこと」を捻り出すこと
[2]仮説構築をするためには、事象が起きたメカニズムを探る必要がある。メカニズム探索では、「歴史の横軸」「業界知識の縦軸」そして、その事象が起きた「背景」を意識する
[3]導き題した仮説を「メカニズム」として頭のなかに格納し、それらをアナロジーで利用する
[4]事例などのインプット量が仮説を導き出す速度と精度を決める
[5]「一を聞いて十を知る」人ではなく、「一を聞いて十を調べる」人が仮説を出せるようになる
[6]あらゆる局面でエクスペリエンス・カーブを意識する
[7]バーチャル知識ネットワークを総動員する



 

自分の頭脳、バーチャル知識ネットワーク、AI、あらゆるものを駆動させ、そこから仮説を一瞬ではじき出す。

これが瞬考。