「数値化の鬼」★★☆☆☆ | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

「数値化の鬼」(安藤広大)

 

「リーダーの仮面」ほどのインパクトはない。


ただ、全般的に共感できたし、刺激的な表現や熱いメッセージでテンションが上がる場面もあった(あとで冷静に読み返すと特に目新しい内容ではなかったりしたが)。


仕事に向き合う気持ちの再活性化、という点で、たまにこういう本を読むのも良いな、と思った。


 


以下、備忘

 

 


数字と向き合わず成長できる人は誰一人いない。

「他人に対する数字の鬼」ではなく、「自分に対する数値化の鬼」になることが本書で説明すること。


「数字」とは、誰が見ても明らかな「客観的事実」。

数字は「感情」を切り離してくれる。
×「肝入りだから続けざるを得ない」
×「愛着があるから撤退したくない」
×「身を粉にして働いています」
〇「目標の50%に届かなかったら打ち切り」


「数値化された評価を受け入れる」
「自分の不足を数字として受け入れる」



1「行動量」を増やす
数を打つところから始まる

2「確率」のワナに気をつける
あなたの動きを止めるもの

3「変数」を見つける
やるべきこと、やらなくてもいいこと

4「真の変数」に絞る
過去の成功を捨て続ける

5「長い期間」から逆算する
遠くの自分から逆算する




■1「行動量」を増やす
数を打つところから始まる

日々数値化していれば、いち早く変化に気づく。

プレイヤーにとっては、行動量を極限まで上げていき、高いレベルで維持することが何より求められる。

しかし、人は「量」より「質」を求める生き物。

行動する前から「失敗したくない」という思いが強い。

高学歴の人、成功体験がある人、優秀な人、であればあるほど、計画に時間をかけすぎて行動量が落ちる。


行動できない理由
「何をすればいいか明確でない」
 →「P」の数値化が甘い
「失敗したくない」
 →フォローが重要に
「上司の言うことが納得できない」
 →まずはやってみる(責任は上司、大いにチャレンジして大いに失敗すればいい)


有名なヒットメーカーや有名デザイナーも、驚くほどの量をこなしている。有名な作品を世に出している人ほど、圧倒的に多くの失敗作も生み出している。「うまくいっている」という見かけにダマされてはいけない。
まずは、誰よりも数をこなす。

KPI:目標を達成するための数値化された指標(数値化されていないと意味がない)

目標とは「地図」。「目標を覚えていないのに日々の仕事をしている」という状態は、地図を持たずに目的地に向かってウロウロしているようなもの。

管理部門などの目標設定例
「ミスの回数」「業務改善数」「期限遵守率」「タスクをポイント化」など



■2「確率」のワナに気をつける
あなたの動きを止めるもの

量をこなすと、次に、質にこだわるのは必然。

しかし、「質を上げること」が目的になってしまうことは大問題。あくまで「行動量ファースト」。

失敗することが恥ずかしくなり、「評論家のようなプレイヤー」「働かないおじさん」が生み出される。

何歳であっても、重要なのは「行動量」。



■3「変数」を見つける
やるべきこと、やらなくてもいいこと

「考えるべきこと」と「考えてもムダなこと」を見分ける。

×「変えられないこと」を変えようとする
×「変えられること」を変えられないと思い込む

〇「変えられること」を変えようと努力する
〇「変えられないこと」は早々に見切りをつける

変数を見つける方法は、シンプルに「なぜ?」を繰り返すこと。

例:試用期間中に連絡やフォローをしたら契約件数が増えた→変数は試用期間中のフォロー回数

気づいた人から成長する。
仕事のプロセスを分けて、どこが問題なのかを探しながら、試行錯誤をする。これを「自分でやって、自分で解決する」からこそ、勝手にモチベーションが上がる。

やったことに勝手に意味づけをするのではなく、明らかに成果につながったことを見つけ出す。

もっともタチの悪いのは、「変数ではある」けれども、「重要度の低い変数」。

「もっといい変数はないか」という視点を常に持つ。

「変数であることには間違いない。だけど、もっと大事な変数があるはずだ」



■4「真の変数」に絞る
過去の成功を捨て続ける

変数は放っておくとどんどん増える。

「すべてが大事だ」という考えに陥る。

KPIや変数が多すぎると余計なことを考える時間が増えてしまう。

そこで「変数を捨てる」という考えが必要。

成果を出せなかったのだとしたら、KPIを見直さないといけない。

目標に最も貢献する行動をKPIとする。最終的には1つに絞る。「真の変数は何か?」

プレイヤーの権限では変えられないものは「定数」。例:商品がよくない、担当エリアは場所が悪い、コロナ禍の影響があった

自分が変えられるものに頭を切り替える。例:売り方は変えられる、担当エリアは不利だが開拓してシェアトップを取ろう、対面営業はできないがウェビナーの集客率は上がっている

とにかく迷ったら「変数」で考える。プロセスを分解し「分ける」。

「変数」を見つけ、過去の「変数」を疑い、捨て、新しく仮説を立てる・・・ その繰り返しが、個人の成長を生む。それ以上でもそれ以下でもない。これ以上の近道も王道もない。



■5「長い期間」から逆算する
遠くの自分から逆算する

長期的にみて未来のトクを選ぶ。

楽に稼げるバイトよりも、将来の社会人としての成長を考えたら、忙しく働く経験を積んだほうがトク。

「5年後の姿」と「今日のKPI」はつながっている。

目標は達成しているけれど、行動量が落ちているプレイヤー
目標は達成していないけれど、行動量が増えているプレイヤー
長期的には後者のほうが確実に成長。

行動量が減っていなければ、遅れて数字がついてくるのを信じる。

大きな目標を達成するためのKPIに取り組んでいるか。







起業家の多くはハングリー精神を持っている。満たされなかった何かを埋めるために熱量の高い人がいる。会社員であっても、「満ち足りなさ」を持った人は、勝手に頑張り始める。

「不足を受け入れる」という意識を持ち続けてほしい。それが「数値化の鬼になれ」というメッセージの奥にあるもの。