「超常現象の科学」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか/リチャード・ワイズマン

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★★★★☆



人間の脳は面白い。


この本を読んでそう思いました。ヒトの認知システムについての理解が深まる一冊です。

数百万年の人類の歴史の中で、必然性があって人間の脳は幽霊を認識するようにできているのだと思いました。


それでも、幽霊やその他超常現象は幻覚や瞑想ではなく、実際に起こる不思議な現象、科学で証明できない未知の現象だと信じたい気持ちもまだあります。本書も言及していますが、人は不思議なことに惹かれます。不思議なことがない世界はつまらないです。


しかし、不思議な世界がなくても、あなたが暮らしている場所、つまりわが家にまさるところはない、と本書は提言しています。


確かに。一理あります。






備忘


なぜ私たちの脳は、存在しない幽霊など見るように進化してきたのだろうか??

「幽霊が人を正直にする」
自分はたえず誰かに見張られていると信じ込めば、社会全体がより正直になる。そのために幽霊も存在するのだと、脳に組み込まれている。
(いんちきができるようなテストの不正を観察したある実験によると、幽霊が出ると教えられたテスト室ではテストで不正をする割合が大幅に少なかった)

「超敏感なエージェンシー探知装置」
人間の行動を意味付けるもの(エージェンシー(媒介))の存在が日常の円滑な人間関係に不可欠。とても重要なので、媒介を探知する脳の部位は過剰反応しがちで、無意味なものまで人間的な行動を見ようとする。
たいていの人がある種の出来事を無意味なものと考えず、目に見えないしわざと考えたがる。思ってもいなかった幸運を天使の働きと考え、病気で倒れると悪魔のせいと思い、ドアがキイッとなれば白い衣をまとった幽霊がいると思う。
幽霊は、人の行動を苦もなく意味づけられる優秀な脳を持ったがゆえに支払わなければならない代償。





パターンを見出す能力は生存にとって極めて重要。日常、因果関係を正しく見つけることが常に要求される。何が原因でお腹を壊したのか、など。

時としてこのパターンを見つける能力が暴走する。正しい因果関係がわからない場合も、架空のパターンを見つけようとする。無関係な二つのもののあいだに関係性を見出そうとする。

占い師の言葉と過去の出来事に強い関係性を見出して占いが当たったと考える。普通の岩の写真に亡霊の顔を見てしまう。超能力者が気合を入れている姿と曲がったスプーンを関連付ける。お守りをポケットに入れていて試験がうまくいったときお守りのお陰だと思う。





あなたの脳は、見たがっているものしか認識できない。

ヒトの認知システムは、意味のないものにも意味を見出してしまう。

ヒトの脳は「見たいもの」しか見えない。「見たいもの」を目の前に提示されると、簡単に信じてしまう。

瞑想しやすい人ほど「幽体離脱」の感覚に陥りやすい

「こっくりさん」は「観念運動」という手の動きにすぎない。

暗示にかかりやすい人ほど「幽霊」を見やすい。

浅い眠り(レム睡眠)の時、ヒトは夢を見る。そしてしばしば幻覚も見る。