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ユニクロはこの本の発行元・文藝春秋を訴えています。
「ユニクロ、文芸春秋を提訴 損害賠償2億2千万円求め東京地裁に」
確かに、ユニクロが事実と異なると主張する店長や中国工場作業員の過酷な労働環境の記述は印象悪いです。
ただ、本当だとしてもさほど驚かないです。株式市場で優良企業といわれる会社ほど働く会社としてはよくなかったり、消費者に支持されている企業ほど下請けに厳しかったり、そういう話は往々にしてあります。
一方、よいことも書いてあります。工場との取引条件は公平・誠実で一度決めたら変わらないそうです(他の日系企業は約束とは違う返品や値引き要請がよくある)。また、"匠チーム"の派遣も独自の高度な品質管理手法です。
また、この本でとても参考になったのはZARAとの比較です。
ZARAは商品の50%を本社周辺の自社工場で作っています。その商品はファッション性が高く、価格も高く(従って利益率も高い)、本社でデザインを決定したら最短14日で全世界の店舗に供給可能という驚異的なスピードを実現してます。少量多品種生産のため売れ残りが少なく、商品の循環が早いので顧客の来店頻度も高い。そして、高い正社員比率(80%)がこの仕組みを支えます。ちなみにユニクロの正社員比率は10%です。
日本企業が本来目指すべきビジネスモデルはZARAなんじゃないかと、この本を読んだ人は思うでしょう。
◆UNIQLOとZARAの財務内容の比較
でも、柳井社長には、日本代表の経営者のひとりとしてがんばってほしいですね。ユニクロ、ソフトバンク、楽天、日本電産。かつてのソニー、ホンダ、京セラ、任天堂、ダイエー、日本マクドナルド、などなど。成功している企業はみんな強烈なトップダウン経営です。
「ビジネスにおいては,辛いことがイコール正しいことなんです。でも見方によったら、ビジネスほど面白いものはないよね。ビジネスって、毎日、成績表をもらうのと同じでしょう。売り上げとか利益とかいう数字の成績表が毎日出てくる。自分たちでお客さまにいい商品を提供して、喜んでもらって、しかも儲かる。こんないい仕事はないと思います」(柳井氏)
ユニクロ帝国の光と影/横田 増生
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