「コンテナ物語」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

たかがコンテナ、されどコンテナ。「貨物を箱に入れて運ぶ」という単純な発想。しかし、標準化の経済的インパクトがいかに大きいかということを痛感しました。おそらく多くの人にとってなじみのない業界の話だと思いますが、この本からはいろいろインスピレーションを得られると思います。



要約・備忘録

1950年頃、シカゴからナンシー(フランス)までの輸送コストの半分は荷役だったという。陸上や海上の移動より積荷がコスト面のネックだった。貨物の種類・形状はバラバラ。港湾には大量の肉体労働者が必要。盗難や紛失も多かった。

コンテナの歴史が始まったのは1956年。普及に時間はかかったが1970年代にひとたび普及し始めるとネットワーク効果で一気に変革が加速(規制緩和、民営化、荷主側の意識変化、などが普及を後押し)。船、港湾、クレーン、倉庫、鉄道、トラック、すべての輸送施設・輸送機関にとってコンテナリゼーションが生き残りの必須条件となり投資競争が活発化した。

生産拠点が需要地の近く、港湾の近くである必要性はどんどんなくなる。戦後の日本の躍進も最近の中国の台頭もコンテナのおかげです。



普及には時間がかかることが多い。それは、誰しも旧製品への投資を回収したいからである。たとえば、エジソンが白熱電球を発明したのは1879年だが、20年後になってもアメリカの一般家庭での電球普及率はわずか3%だったという。発明の経済効果を生み出すのは、発明そのものではない。それを実現するイノベーションである。いやもっと厳密には、(中略)組織や制度の変革である。P.27

マルコム・マクリーンがすぐれて先見的だったのは、海運業とは船を運航する産業ではなく貨物を運ぶ産業だと見抜いたことである。今日では当たり前のことだが、1950年代にはじつに大胆な見方だった。P.80





コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった/マルク・レビンソン

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