「マキアヴェッリ語録」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆

「そう言っちゃうのか」と思うような・飾らない直球の語録、理想ではなく現実主義に基づいた語録、がある意味心地よかったりします。

マキアヴェッリの独特なところは、美徳だけではなく汚いこと・ずるいことも必要、という考え方だと思います。確かに、国家(企業もそう)の存亡に関わる場合、きれいごとを言ってはいられないケースは多い。ただ、マキアヴェッリも、短期的な利益にとらわれるとか、条約を破るとか、信頼を裏切るとか、は避けるべきと考えており、バランスだとは思います。長期的な存続が大前提になっています。



以下、備忘録

君主にとっては、愛されるのと怖れられるのとどちらが望ましいであろうか。
(どちらかといえば怖れられるほうが君主にとって安全な選択。人間は恩情の絆で結ばれている愛情など利害がからむと平然と断ち切るが、恐怖でつながっている場合は復讐が怖ろしく容易に断ち切れない) P.92

結果さえよければ、手段は常に正当化される。 P.110

君主たるもの、もしも偉大なことを為したいと思うならば、人をたぶらかす技、つまり権謀術数を習得する必要がある。 P.113

戦闘に際して敵を欺くことは、非難どころか、称賛されてしかるべきことである。 P.126

祖国の存亡がかかっているような場合は、いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される。 P.152

なぜ、人々の心に自由に生きることへの強い愛着が生まれてくるのか、
(歴史上、自由を持つ国だけが、領土を拡張し経済的にも豊かになった。僭主制から自由になったアテナイ、王制を廃したローマ、など) P.155

不正義はあっても秩序のある国家と、正義はあっても無秩序な国家のどちらかを選べと言われたら、わたしは前者を選ぶであろう。 P.159

自国を大国にしたいと思う者は、あらゆる手段を用いて人口の流入を計ることを忘れてはならない。(豊かな人口なしに大国になることはできない) P.199

困難な時代には、真の力量をそなえた人物が活躍する(逆に平時にはふさわしい評価を与えられない) P.203

人のなす事業は、動機ではなく、結果から評価されるべきである。 P.230

誰だって、誤りを犯したいと望んで、誤りを犯すわけではない。
ただ、晴天の日に、翌日は雨が降るとは考えないだけである。 P.261

ボッカッチョが『デカメロン』の中で言っているように、
「やった後で後悔するほうが、やらないで後悔するよりもずっとましだ」 P.263

天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。 P.265





マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)/塩野 七生

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◇参照「孫子の兵法」