「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


ディズニーによるピクサー買収が話題になっていますが、まさにこの本は、この話題に先行していた本です。

・・・「ピクサーは、ディズニーに取って代わるのではなく、次なるディズニーになるんだ」(スティーブ・ジョブズ)、「(スティーブは)ディズニーの支配者としてうってつけだ」(ディズニー幹部)、など。


スティーブ・ジョブズの波乱万丈の人生を追った本です。スティーブ・ジョブズという人物、今まで良く知りませんでしたが、非常に魅力的な方ですね。


わがままというか、自分勝手というか、信念が強いというか、純粋というか。相性が悪い人とはとことん合わないのでしょうが、合う人の心はがっちり掴んでしまう、カリスマ性。


アップルやNeXTで失敗を経験したり、性格が変わっていたり、人間味があって、他の成功した経営者などよりも親しみが持てます。


それと、ジョブズの価値観は、お金ではなく、世の中をあっといわせるような、いかに革新的で・完璧で・クリエイティブな製品やサービスを創造できるか、を基準にしているのだと思いました。そして、それを達成するための情熱はとてつもない。音楽配信サービスiTMSを立ち上げる際には、ジョブスのカリスマ性と激しさによって、音楽ダウンロードに慎重な音楽業界が「彼の足元にひれ伏した」という。たった一人のカリスマによって業界が一気に動いた。


こういった志というか使命感というか、はライブドア・堀江前社長には感じられなかったですね。


ディズニーがピクサーを買収しましたが、ピクサーの立場は決して弱くなく、ピクサーの50%程度の株を保有していたジョブズはディズニーの筆頭株主になりました。一部報道によれば、ジョブスが映画業界とコンピュータ業界の融合(=映画のネット配信の普及促進)に貢献すると期待する向きもあります。まだまだ、今後の動きに目が離せません。


ディズニーのピクサー買収は、日本で言えば、例えばフジテレビのスタジオジブリ買収、と言ったところでしょうか。日本の通信と放送の融合は、誰が情熱と使命感を持って推進するのでしょうか。テレビ局は絶対ありえない。思い浮かぶのは、あえて言えば、ソフトバンク・孫社長。楽天・三木谷社長やUSEN・宇野社長にも頑張って欲しいです。



ジェフリー・S・ヤング, ウィリアム・L・サイモン, 井口 耕二
スティーブ・ジョブズ-偶像復活