ムッとしながら富士へ向かう。
「新宿バスタ」は二度と使わない。
そう決めた。
何故ならその出来事を思い出して気分が沈む。
むしろ、腹ただしくなってしまう。
旅の最初にそんな嫌な出来事を思い出すと、ウキウキ気分が台無しになる。
小さい野郎だと思うが、それが俺なのだ。
その日はグラミー賞で、『デュア・リパ』の名前が耳に飛び込んだ。
6部門にノミネートされたとのこと。
普段はほぼ洋楽しか聴かないが、リパの名前は初めて耳に残って、バスの中で聞いてみた。
むしろ、ダウンロード済みだった。
曲は知っていたが、歌手名を認識していなかっただけであった。
ベストを聴いて、胸をつかまれ捲くる。
『Love Again』
この曲がこの旅の八割をしめることになった。
そんなこんなで、富士も大分近寄った。
大きくなる富士に興奮してくる。
"富士急ハイランド"についた。
初めて降り立った。
とにかく俺はビビりの中のビビりである。
絶叫マシンなんて、何で乗るの?って思っている人間である。
出迎えはとても優しいものだった。
徐々にそのマシーンは姿を表す。
観ているだけで腹が痛くなってくる。
もちろん乗るわけがないが、その密に恐怖さえ感じた。
3月15日のことである。
結局、こうなる。
わかりきったことだ。
一通り見て廻り、"富士急ハイランド"を後にした。
〜続く〜