9/24 PayPayドーム


ロッテ  0-6  ソフトバンク

勝    板東   3勝3敗
負    二木   2勝4敗

二木−廣畑−八木−坂本=佐藤都、松川
板東=甲斐

本 三森 8号、中村晃 6号

今日の主役は初回に初球本塁打を放った三森でもなく、4回にダメ押しの3点本塁打を放った中村晃でもなく、プロ初完封を見事に飾った板東でもありません。


昨日引退会見を行った明石健志、この人が主役です。ダイエーホークスを知る唯一の野手が現役生活19年にピリオドを打ちました。

2003年のドラフト3巡目で山梨学院大学付属高校から入団。すると新人だった2004年、5/2の近鉄戦という早い時期に1軍デビュー。迎えた初打席では右中間へ三塁打、高卒出の新人がGWに1軍に昇格し結果を残すなんて今では奇跡の様な話です。

このシーズンは2軍を主戦場としましたが、打率.304で三塁打はリーグトップの12本、当時は今ほど2軍選手の情報が無い中で、バットコントロールの天才が現れたと有名でした。

打撃センスを買われ、本職の遊撃手以外にも内外野の全ポジションを練習。今でこそユーティリティプレイヤーが沢山居る時代になりましたが、近年の先駆けとなったのは明石でしょう。怪我もあり1軍定着には時間がかかりましたが、レギュラーに最も近づいたのは2012年。遊撃手のレギュラーだった川﨑がメジャーへ移籍して空いたポジションを今宮と争い開幕スタメン。シーズンに入るとチーム事情から複数のポジションをこなし初の規定打席到達、オールスターにも選ばれ、このシーズンに記録した129安打、25盗塁はキャリアハイになりました。当時のイメージで言うスタメン明石、守備固め今宮といった感じだったはずです。


2015年、2017年のシーズンにも100試合以上出場しましたが、怪我もあり、なかなかレギュラー定着とはいきませんでした。それでも苦しいチーム事情の中で複数のポジションをこなし、結果を出してくれる貴重な選手でした。


バットでボールの下っ面を叩くのではなく、ボールに平行にバットを入れライナーで弾き返す。外野の間を抜ければ躊躇わずに三塁へ。本当に綺麗な打撃フォームでした。


本人は2010年に記録したサヨナラの悪送球が1番の思い出と引退会見で話しましたが、明石の思い出と言えば2012年の19球。7/7の日本ハム戦で乾投手から15球のファールを放つと、投手が粘り負けして四球で出塁、1打席19球というのはNPBのタイ記録となりました。

それでも、やっぱり1番の思い出は2019年の4/25に放ったサヨナラ本塁打。オリックス相手の延長10回に右翼へ放った会心の当たりは自身初となるサヨナラ本塁打、三塁を回ったところでヘルメットを投げ捨てるとバク宙ホーンムイン。秋山元監督が西武時代によく見せてくれた伝説のホームインを再現したのは驚きました。あれは絶対に忘れられないでしょう。


今日の試合は7回1死から代打で登場。初球を見逃し、2球目をファールで追い込まれますが、3球目を捉えると投手へライナーが直撃。一塁方向へ転がる間に一塁を走り抜けると内野安打に。明石らしいボールをバットで平行に捉えた打球は648本目の安打になりました。

一塁を駆け抜けた後にベースへ戻ると、ヘルメットを取りドーム内に頭を下げました。最初の打席でも安打、最後の打席でも安打で締めました。


試合後に行われた引退セレモニー。スピーチで出てくる言葉は感謝の言葉ばかり、飾らない人柄がよく表れていました。王会長、藤本監督、和田、今宮、工藤前監督から花束を貰うと最後はお子さんからの花束贈呈。

そして2013年から登場曲として使用し続けていたBe...をMs.OOJAさんが生歌を贈りました。毎年、毎打席で登場曲を変える選手が多い中、映像がなくても音だけで曲を聞けば分かる数少ない選手でした。

一連の流れが終わり、胴上げが始まると思いきや明石が始めたのはベースランニング。一周すると最後はバク宙でホームイン、2019年を見事に再現してくれました。その後、行われた胴上げでは背番号にちなんで8回宙に舞いました。


「大した事のない選手」と自分の事を表現していましたが、野球はレギュラーだけでやるものではありません。どこでもポジションでも守れて、どの打順も役割もこなせる。監督にとってはこんなに助かる選手はいません。大した事のない選手に球団は複数年契約はしませんし、引退セレモニーも行わないでしょう。そして1つの球団で19年も現役を続ける事は出来ません。

常勝ホークスを支えた縁の下の力持ちは、紛れもなく黄金時代を支えた選手です。8番の前に着けていたのは36番、今は牧原大が着けています。今後はホークスのユーティリティプレイヤーのみが背負う番号になるのではないでしょうか。


19年間、本当にお疲れ様でした。

常に腰痛に悩まされていたので、今後はゆっくりと体を休めて、またホークスに帰ってきてくれる事を期待しています。



通算成績

1008試合  打率.252   2567打数  648安打

17本 213打点  93盗塁



ドームに響く声を受けて

今だ明石 振り抜け



そして、大きな勘違いを1つ。

ロッテの井上選手、ありがとうございました。