5/6 ZOZOマリン

ソフトバンク  5-3  ロッテ

勝    津森   2勝1敗
S      モイネロ   1敗5S
負    田中靖   1敗

千賀−松本−嘉弥真−板東−又吉−津森−モイネロ=甲斐、海野
佐々木朗−東條−ゲレーロ−益田−小野−田中靖−中村稔=松川、柿沼

本 中谷 1号

先発は千賀と、今季完全試合を達成している佐々木朗投手の剛腕対決。敵ながらどれだけ凄いのか楽しみな試合となりました。

初回に1死から牧原大が一塁線にボテボテのゴロを放つと内野安打。これで早くも完全試合を阻止します。柳田の内野ゴロで走者が入れ替わると、グラシアルは右前に奇麗に弾き返しチャンスを作ります。さらに中村晃も左翼前へ、先制のチャンスでしたが柳田がホームでタッチアウト。
初回から最速164キロで直球のアベレージは160キロ超。やはりこの投手から点を取るのは難しそうです。

チャンスの後にはピンチが待っています。初回裏の攻撃で千賀が先頭打者に安打を許すとエンドランを左翼前に決められ一、二塁。さらにバントを決められ1死二、三塁と嫌な流れになりますが、ここは空振り三振と左飛で切り抜けました。千賀も初回から160キロを記録、世界の違う剛腕対決が幕を開けました。

2回は3人で終わりますが、3回にもチャンスを作ります。先頭の甲斐が四球を選ぶと1死から牧原大が中前安打。暴投で2死二、三塁までチャンスを広げますが、グラシアルは150キロ近いフォークで空振り三振。一昔前なら150キロの直球でも凄かった時代が150キロ近いフォーク。時代が変わったものです。

試合が動いたのは4回。1死から柳町が外角高めの直球を弾き返すと左翼フェンス直撃の二塁打。2死となった後に好調な今宮は真ん中にシュート回転してきた直球を右中間に弾き返し先制点。これで完封試合も阻止出来ました。

先制点を貰った千賀ですが、直後にまたまたピンチを迎えます。先頭の菅野選手には変化球が外角高めに抜けると左中間へ二塁打。1死から中前安打を打たれて一、三塁になりますが、エチェバリア選手は三ゴロ、松川選手はフォークで空振り三振と、ここも切り抜けした。

5回に回ってきた柳田の第3打席。今までにない配球で初球はカーブでストライク、次は149キロのフォークを空振り、最後は163キロの直球に見逃し三振。
三振した柳田が審判にコースでしょうか確認していました。その際に顔が少し緩んで嬉しそうでした。三振して表情が緩むのは不謹慎かもしれませんが、凄い投手と対戦すると、アドレナリンが出るせいでしょうか、それとも純粋な凄さからでしょうか、こういう時もあるものです。
この表情からしても、あまりの凄さに打席に立つのが楽しいのだろうなと言うのが良く分かりました。

1点で逃げ切りを図りますが、やはりそうは行きません。5回に先頭打者に安打を許すと、ロッテは手堅く送りバント。さらに四球で一、二塁としてしまうと山口選手には三塁線を破られ同点。さらに菅野選手の打球はワンバウンドで千賀の左足を直撃し、左翼前に転がる強襲安打。ボールが転がる間に2人が還り、さらに失点で1-3と逆転を許してしまいました。
左足が心配されますがトレーナーも行かずにそのまま続投。1死一塁から安田選手には左中間を破られますが、一気にホームを狙った一塁走者はクロスプレーでタッチアウト。その間に打者走者も三塁を狙いますが、これもタッチアウト。試合が壊れかねない場面でしたが味方の好守が千賀を救いました。

結局、千賀はこの5回で降板。打球を受けた左足の影響ではなく、その前に上林のファールがベンチに飛び込んだ際にとっさの動きで足をつった事が原因だそうです。
5回を投げて69球でしたが8安打を浴びて3失点。奪った三振は5と、あまり調子は良さそうに見えませんでしたが、それなりに先発として試合を作ってくれました。

逆転されてしまった打線は反撃したいところですが、佐々木朗投手の前に6回で11三振。やはり追い込まれると多少バラついていても振らされてしまうほどの威力があり、好調時の打線でこれなら不調時なら簡単にやられてしまうくらいの怖さがありました。

その後もロッテの継投の前に点が取れません。またしても千賀の日に試合を落としかねないと思った9回に反撃がやってきます。
先頭の上林が振り逃げで出塁すると、1死から甲斐の代打に中谷。抑えの益田投手の低めのシンカーを捉えると打球は左翼スタンドへ起死回生の同点本塁打が飛び出しました。
右の長打を期待されて阪神から昨季途中に移籍して来ましたが、昨季は出番無し。今季は少ないながらも出番を貰った男が移籍後初本塁打を大事な場面で放ってくれました。右の代打の奇麗な放物線、ふと吉村を思い出してしまう感覚の当たりだったと思います。

これで追いつくと延長戦は勝利の方程式を投入。引き分けを覚悟した11回にまたしても試合が動きます。
三森が安打で出塁すると、すかさず盗塁で無死二塁。ここで牧原大が送りバントをしますが捕手前へのミスバント。三塁でアウトと思いきや、三塁手がベースから前に出てしまい捕手は送球出来ず。これで走者を送る事が出来ました。細かいポジション取りの話ですが、これは記録に残らない痛いミスだったと思います。
1死三塁にすると柳田は申告敬遠。広がったチャンスにグラシアルが右翼前に落とす適時打を放ち勝ち越し。さらに野村勇の四球で続くと、上林の打席では高めの暴投により1点追加して5-3と試合を決めました。

長い長い試合の序盤に行われた剛腕対決。チームNo.1の千賀ですから遅く見えてしまうほどの佐々木朗投手の球の速さには驚きました。まだ線が細く3年目、これから完成してきたらどんな投手になるのでしようか。古くは日本ハムのダルビッシュ投手や楽天の田中投手、最近ならオリックスの山本投手。そんな異次元の好敵手になり得る存在だと思います。
個人的には田上や風間あたりがホークスのこのレベルの投手に育ってくれる事を期待しています。

最近の試合を見ていて常に驚かせてくれるのが柳町の対応力。今日も最初の打席では打てる感じがせず空振り三振。しかし、2打席目には芯で捉えると左翼フェンス直撃のあわや本塁打という二塁打を打ちました。
昨季までの2年間で1軍の打席に立ったのは60打席。まだまだ初対戦の投手が多いと思いますが、2打席目や3打目になるとしっかり対応して結果を残します。
記録を見ても早い打席では凡打が多く、後の打席の方が安打の確率が増えます。今後、一通り投手と対戦すればさらに慣れてくるでしょう。逆に疲れも来ると思いますが、藤本監督が言っていた.270や.280どころではない数字を残すかもしれません。
まだまだシーズン序盤ですが新人王の権利を残している柳町。秋にはどんな数字を残してくれるでしょうか?