友人のT君は公立中学校の非常勤講師である。
その彼が言うには、ニュースで大企業のベースアップの話が報じられる一方で、非常勤講師の時給は上がってないのだそうだ。
聞くところによると、教員の成り手が減少していて現場の教員はいろいろなしわ寄せがあってかなり苦しいという。
非常勤講師というのは授業だけうけもっているということだが、授業をするからには当然ながら教員免許をもっている。
人手がほしいからと言って、どこの誰でもできるというわけではない。
他の仕事に比べれば時給はそれなりに高い。
でも、夏休みや冬休みは授業がないから当然仕事もない。
仕事がないから給料はない。
年間で2ヶ月は無収入となる。
もちろんボーナスなんてない。
非常勤講師なんてしょせんはバイトと同じ扱いなのだ。
教員の働き方の見直しが論じられるなか、事務仕事や部活動等の指導は教員以外に任せてもっと学習指導に力を注げるようにという話が出る。
だったらもっと非常勤講師の金銭面での待遇も見直したらどうなんだろうか。
「いや、非常勤講師は生徒指導とか学校行事等の面倒なことに関わらなくていいんだから見直す必要なんかない」という考えもあるかもしれない。
でもT君がいうには、もちろん負担はずっと少ないけど、生徒指導にも学校行事等にも全く関わらなくて済むわけないそうだ。
単純に仕事の量と賃金の関係で考えるならば、正規の教員の仕事を減らすなら給料は下げるべきなのだが、それは無理だろう。
正規の教員の給料はそのままとするなら、仕事の面で差が縮まった講師の賃金を上げなければ変じゃない?
そもそも人手不足だというなら待遇良くしないと人は集まらないのが当たり前なのだから。
ただ、T君によるとこの業界は「やりがい」をたてにボランティアを強いる傾向はあるそうだ。
そりゃ若い人は敬遠するよ。