認知症が疑われる親や初期段階の親との関係を良好に保つ秘訣は、自分の親に対する期待と甘えの思考に打ち勝つことです。
「え?どういうこと?」
 
親をはじめ身近な家族に対して、自分の常識や観念からくる「こうあるべき」という期待が無意識にあります。
それを無自覚に相手に向けるとトラブルになり、言うことを聞いてもらえない状態になりがち。
認知症の症状をなるべく穏やかにするために、円滑なコミュニケーションは欠かせません。
円滑なコミュニケーションがお互いのストレスを和らげます。
 
なので、親に対して「こうあるべき」という期待をせず、親の現状に関心を向ける姿勢を見せることが大切。
 
でもその期待をしない、ということが親に対してめちゃくちゃ難しいことだったりします。
自分の親への期待に気づき、ゆるめること。
関心をもってできるだけ見守る姿勢。
それは自己の精神的な成長につながっていきます。
介護が親からの最後の教えと言われるのもそういうことでしょう。
 
 
さて、現実的な対応はというと。
親に「認知症の人」というレッテルをはらない。
つまり、親と認知症を区別すること。
 
これまで通り親として接する。
態度や言葉を変えない。
 
認知症で困っていることに、親のわかりやすい方法を相談しながら対応する。
決して世間や自分が良いと思う方法で押し通さない。
提案するのはもちろんオッケーです。
 
つまり、親の生活を急に変えない。
これまでの生活に工夫を加えていく。
認知症の症状だけでも混乱するのに、生活が変わるとさらに混乱するからです。
混乱をできるだけ和らげるように配慮する。
そのためには、会話を増やし、よく笑うこと。
 
そうして自分は、自分の言葉や態度に意識的になること。
親にはこれまで通りの親でいてほしいと期待するのに、自分はこれまで通りでいさせて欲しくて甘えてしまうんですよね。

でも親子関係に変化が始まりました。
自分に意識的になることで、自分も相手も傷つけず、冷静に対処していけることが増えます。
それは次第にお互いの喜びになっていくことです。
 
認知症になることは絶望ではありません。
そこに希望を見出していけるのが人間だと私は体験して感じます。
実際はかなり絶望していた私が言うのもなんですが(笑)
今は、両親と歩んできた時間は宝物で財産なのです。
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松元佳子