母が若年性アルツハイマーの症状を呈して
四半世紀以上過ぎた。
現在母は介護付有料老人ホームで暮らしている。
わたしが施設を訪れ母に会うときは、
とても切ない気持ちになる。
そこはかとない罪悪感に襲われる。
それは、母の顔がこわばっているから。
それは、母が寂しそうだから。
母の顔がこわばっているときは、
「周囲を警戒している状態」
母は、
何かお世話をしてもらったとき、
痛いといえなくて、
お世話してもらいたいのに
してもらえなくて、
気持ち悪いといえなくて、
何かを伝えようと必死なのに、
誰にも理解してもらえなくて、
こわばった顔でブツブツと抑揚のある独り言をいう。
そんな母を目にすると、
とても切ない気持ちになる。
そこはかとない罪悪感に襲われる。
「お母さん、自宅で生活させてあげられなくてごめんね。」
そのときわたしは自分に語り掛ける。
大丈夫。
わたしの人生と母の人生は別。
母が積み重ねてきた人生。
母がいま体験していることは、
なにかしら意味があるのだろう。
わたしはこうやって、
母を見てこころに痛みを感じている。
母が与えてくれる痛みの教え。
しっかり受け止めよう。
そして今わたしが母にできることを精一杯しよう。
母と居る今を楽しもう!
大丈夫!
今はあたたかく優しく楽しい時間になる。
今、母のためにわたしができることは何か?
母の気持ちを少しでも理解しよう。
母の背中を優しくさすり、
母の手を優しく握り、
すっかり冷たくなった手を、
わたしのぬくもりであたためよう。
楽しい話をして母と笑いあおう。
いつもの家族の話をして、
心配したり、
面白がったりしよう。
わたしの話をきいてもらおう。
母が若いころ訪れたかもしれない場所に
わたしが行って感じた話を。
ちょっとした悩み事や愚痴を笑い話にかえて。
ほんの少しの時間でも母と過ごす時間は、
素の自分で面白おかしく楽しみたい。
家族なんだもの。
やっぱりいくつになっても
母の喜んでいる顔がみたいわたしだもの。
そうすればいい。
そうできるのだから。
だから今は、今のままでいい。
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松元佳子
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