口腔ケアが大事。
実家で認知症両親の介護をしていた頃、
アルツハイマー型認知症の母の歯磨きと
入れ歯のお手入れを
必要に迫られやることになりました。
 
今回は母の口腔ケアデビューする前に
わたしが準備体験したお話しです。
過去ブログから切り貼り。
 
さて。
他人に自分の歯磨きをしてもらったことありますか?
歯科以外で、専門家以外に。
ないんじゃないでしょうか?
 
まずは訪問歯科診療の先生と歯科衛生士に、
母と一緒に口腔ケアの細かな指導をしてもらいました。
 
母の歯磨きをする前に、
自宅で夫に「歯磨きの練習をさせて!」とお願いし実行。
 
夫には、「怖い!怖い!」を連発され、
こっちが怖くなりました。
 
「怖い」理由は、
「じゃ、歯磨きするね~!」
と歯ブラシを口の中に入れようとした瞬間からはじまるそう。
 
そこで。
これからするわたしの動作を、
細かに実況中継の如く喋りまくりです。
 
そうして。
左右の手の置き方、
手を添えるときの圧、
歯ブラシの怖くない挿入角度、
歯磨きの力加減、
磨かれ心地?
磨いた後の感想などなど、
細かく聞いて、
母の歯磨きに備えました。
 
もちろん夫にわたしの歯磨きもしてもらいました。
夫の言う通り、
家族に歯磨きしてもらうの怖い!!!(笑)
 
「本当に大丈夫なの?!」
「痛くしないでよ!」
「イタイ!」
「磨けてる気がしない!」
などなど(笑)
 
お口ってプライベートな空間。
認知症の方の口腔ケアをする前に、
まずは健常者や自分で練習すべし!
 
認知症の方のケアは、
ちょっとした痛みに驚いて、
それがトラウマになって、
治療もケアもさせてもらえなくなりますから。
 
母は暴れたり、
口をぎゅっと結んで開けなくなります。
 
それでは母の歯磨き風景を紹介。
 
まず基本。
・視覚、聴覚、触覚をフル活用
理由:母に安心して安全に歯磨きをしてもらうため
歯ブラシの角度、歯ブラシを口に持っていくまで、見せる、入れてからの声かけ。
 
・事前準備は万全に
理由:途中で離れると母の集中力が途切れてできなくなる可能性
歯間ブラシや部分ブラシ、歯ブラシ、入れ歯ブラシ、何種類ものブラシを駆使。
 
わたし:
おかあさん、
次はこのブラシで(ブラシを見せながらブラシ部分を触り)
歯と歯の間を(といいながら自分の歯と歯の間をさし)
わたしのだとここだよ?!
じゃ、おかあさんのをきれいにするね?!
 
母:
(不安そうな表情で頷く)
 
わたし:
お口(と言いながら)
触るね~(と言いながらそおっと唇に手を添えて)、
ブラシを入れて磨きます(ブラシが母に見えるようそっと優しくお口に入れる)
歯ブラシでこの歯(といいながらブラシで優しくタッチ)
から磨いていくよ~。
 
どう?痛くない?
 
母:
気持ちいいよ。

わたし:
じゃ、お隣の歯の前を磨くね(トントンと磨く歯を優しくブラシで触る)
どう?大丈夫?
 
母:
(頷く)
 
わたし:
次は、裏(トントンを繰り返す)だよ、
ブラシの持ち方を変えるから、
いったんブラシをお口から出すね!
ちょっとお口疲れたかな?
休憩しようか?
 
みたいな感じで延々。
 
特に気をつけたいのは、
歯槽膿漏などの炎症部分(赤く腫れている)
炎症部分は少しでも痛みを感じるような圧をかけちゃうと
歯磨きをしなくなる可能性が高いので必死。
 
歯磨きだけでも恐ろしく神経使い、半端ない疲労感。
だから母は、歯磨きがきらいじゃない。
 
しかしわたしは疲れてるとき歯磨きはサボりがち。
そのことを先生に相談。
 
サボりポイント、聞いちゃいました。
そりゃ、食事毎に完璧にしたほうがいいんですけど。
最悪これくらいならっていう(笑)

そもそも介護を続けるうえで一番重要なのは、
手の抜きどころを覚えること!

ということでサボリポイントです。
毎回完璧な歯磨きじゃなく、
上だけ、
下だけ、
右だけ、
左だけ、
痛くないところだけ、
痛いところだけ、
ローテーションでまんべんなく磨こう!
手抜きするならバランスよく!
(素敵な表現です♡)

いちいち動作を説明しないと、怖くて逃げたり暴れたり、、、な母。
口腔ケアを学んだことで、
その他の日常生活上の動作(例えば着替えやトイレなど)
にも応用しスムーズな動作ができるようになりました。
母にも良かったし、
お手伝いするわたしたちにも良かった!
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松元佳子