旅のことばカードから私の話を書くブログシリーズです。
旅のことばとは?
 
カードの16から32は[家族のことば]です。
認知症両親と家族に寄り添ってきたわたしのことばを綴ります。
 
【活躍の機会21】
小さくても貢献。
 
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介護に一生懸命に取り組むなかで、いろいろなことを本人の代わりにやってしまいます。
そのとき
本人ができることなのに、代わってやってしまうことが続くと、本人がやることがなくなり、次第に本当に何もできなくなってしまいます。
そこで
ちょっとしたことでよいので、本人が「よし、やってみよう!」と思えるような機会をつくります。
本文ここまで~~~~~~~~
 
・若年性アルツハイマーだった母
介護に一生懸命取り組むなかで、いろいろなことを「本人がやるよりわたしがやった方が早いから」という理由で取り上げてしまっていました。
若年性アルツハイマーの症状が進行してくると、母はこれまで簡単に出来ていたことが、混乱して時間がかかるようになっていきました。
それでも母は自分で家事をしようとします。
けれどもすぐに何をしていたのかわからなくなり、そのたびにわたしや父や妹たちにいちいち質問します。
そのことにわたしたちはイライラしました。
母がどんな気持ちかを考えもせずに。
自分たちに時間があるときは一緒にやりましたが、母と一緒にやるとかなり時間がかかります。
となると自分が自分の時間との戦いで(このころは、中距離⦅往復5時間⦆を通っていた)、わたしを優先してしまい、母ができることをどんどんやってしまいました。
すると、どんどん母は家事ができなくなっていきました。
そのとき母が通っていた認知症対応型通所介護で、母がイキイキと洗濯物を畳んだり、お料理の手伝いをしているということを教えてもらいました。
わたしは母の様子を見学に行きました。
そうすればよかったのか!
職員の方と母のやり取りを見て、理解しました。
それからは、母のために母のできることをやってもらうようにしました。
その時の母の嬉しそうな表情!
母はずっとわたしたちのために家事を完璧にこなしてくれていたのだと、それは母のプライドだったのだと、ようやく気づき始めたのでした。
十数年前の出来事です。
 
・脳血管性認知症を発症した父
母とは正反対の性格の父。
常に自分ができることでも誰かがやってくれるなら自分でやりたくない人。
その性格と意地で、あっという間にいろいろなことができなくなりました。
けれど父にはひとつだけ続けているものがありました。
ハーモニカです。
父のハーモニカはわたしたち姉妹には何の助けにもならず、むしろ何もせずハーモニカを吹く父にイライラし忌々しく思っていました。
けれども父のハーモニカを聞いたケアマネージャーやデイサービスの職員さんたちは、涙をうかべでいました。
父のハーモニカの音色に感動したそうです。
わたしたち介護をする姉妹には忌々しいハーモニカの音色は、一方で誰かの胸を打つ。
ケアマネージャーやデイサービスの責任者の方々がそれぞれの施設で父にハーモニカの演奏を頼んでくださったことが、父の活躍の機会となりました。
 
認知症のタイプの違う両親それぞれに活躍の機会があり、その活躍は人それぞれの好きで得意な事なんだなと学んだのでした。
 
父は今でもハーモニカを吹きます。吹くことができます!
活躍の機会が与えてくれる素晴らしさです!
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松元佳子
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