父のハーモニカは学生時代、先輩に誘われて始めたと聞いています。
学生時代、上記の先輩とハーモニカバンドを結成していてそのバンドは受け継がれ現在も存在します。
それが高じてその他にも楽器を演奏するようになったようで、実家にはアコーディオンがあり、私が中学生のころまでは自宅で聴いた記憶があります。
その後父の楽器演奏はすっかり聴かなくなり、再び父のハーモニカを聴くようになったのが母がボケ始めた頃。
母のご機嫌をとりたかったのか?
はたまた、母の独り言や話し相手をしたくなかったのか?
自分を慰めたのか?
その時々だろうと思います。
そんな父を、家のことをなかなか手伝わず要求だけはして娘たちを困らせハーモニカを吹いてお茶を濁す父を、娘たちが疎ましいと思うのは自然な流れでした。
お互い平行線で、言い分もある。
今なら父の気持ちもわかりますが、当時若かった私は自己憐憫や悲劇のヒロインぶるのに忙しく、まだまだ幼稚でした。
父世代の物わかりの良い素敵な紳士に、「もうすこし冷静に客観的になったら楽ですよ!」というようなアドバイスを頂いたのですが、言葉の表面は理解できても(「そうだとは思う!でも、だって!)父に対するいろいろな感情が整理できていなくて悶々としていました。
なので、父がハーモニカを吹き始めると
『お父さん!!!(怒り)ハーモニカを吹かないで!!!!うるさいっ!!!!!(激怒)』
そんな頑なな気持ちが徐々にほぐれたきっかけは、いくつかあります。
ひとつは、父の兄弟姉妹や父の母が父のハーモニカの演奏を楽しんで父に「(ハーモニカを)吹いて!吹いて!」とせがむ様子を度々見、楽しそうな家族の様子を見たこと。
もうひとつは、セルフマガジンにも書きましたが、持病の通院をしている病院の主治医に診察室でハーモニカの演奏をリクエストされ父がハーモニカを奏でた時、主治医や看護師、事務方のみなさんにそれはもうびっくりするほど喜んで頂けたとき。
さらに、その主治医と看護師のお声がけで通院先の病院に併設されていたデイサービスで利用者のみなさんのために父がハーモニカを奏で、聴いていただき、一緒に歌っていただいたことが何度かありました。
その時の父の表情や利用者の方々の表情、どちらもイキイキとしてこの瞬間を楽しんでいる光景が忘れられないものとなりました。
父のハーモニカの特技を一番にみつけたのは、母のデイサービスの生活指導員で、母のデイサービスでの行事のたびに、父に演奏を頼んでくださり、父も母も利用者のみなさんも一体となって歌をうたったり、手拍子をして楽しむという機会を度々いただいたのでした。
こういう機会を頂くことで、わたしの気持ちが緩んでいき、「一芸に秀でる」とはこういうことかと実感したり、父の演奏に涙をながす人々をたくさん見てきて、自分の父に対する思いも考えも変わっていったのです。
変えることができない親子関係ですが、父が変わらなくても私の気持ちが変わったので、現在はいい感じの親子です。
「報告か!」突っ込んでください(笑)
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松元佳子
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