終活フェアに行ったとき
『物忘れチェック』
のコーナーがあり、
そこでちくちく刺さって痛いトゲ
を思い出す会話が聞こえた。
何気ない話。
40-50代ともなると、
いえ若い方々だって、
なんとなくする話。
『最近物忘れがひどくてさー、
認知症じゃないかって不安になるのよー。
この前ね××をすっかり忘れてて
△△だったのよ。
嫌になるわー。どうしよう!(笑)』
20代だった過去のわたし。
母が若年性アルツハイマーを発症し
まだそれが若年性アルツハイマーだと
わからなかったころからしばらく、
上記のような話に
過敏に反応して
深く深く心をえぐられていた。
相手に悪気はないとわかっていても。
冗談交じりの自虐だと思っても。
私にとって母のボケ
=認知症
=アルツハイマーだろう事実は
不治の病の宣告と同じだった。
まだ若くて経験も少ない自分にとって
母のボケは受け入れがたい事実。
それでも頼りにならない父と
わたしを頼る妹たちの手前、
必死で長女の役目を担っていた。
当時のわたしは母を支えたくて必死。
だけど母は自分を認め受け入れられずにいた。
そんな時だったから。
ボケを軽く話のネタにする人を
許せないと思った。
そんな会話を聞いていしまうかもしれない
母を危惧した。
母のように当事者が聞いたら
どんな気持ちになるだろう?
「わたし認知症かも?!(笑)」
なんていうなんて。
その言葉を聞くたびに、
わたしはショックで。
自己憐憫に浸って、
「嫌味?!」と悪意を抱いて
その相手をにらみつけていたこともあったかも。
そんな気持ちをすっかり忘れがちな自分に
気づいたのだった。