認知症両親の。
そもそもは若年性アルツハイマーになってしまった母の気持ちが知りたくて。
どうやったら母は本心を話してくれるんだろう?

あれ?お母さんおかしいな!と思った20年前。
直接聞いても、母は何も語らなかった。
母は目の前にいて母自身の話を聞きたくてわたしが質問すると、すぐに心の扉をぴっちりと閉めた。
揺るがない扉。
わたしの聞き方が悪いんだろうか?
コミュニケーションについて調べた。
わたしが前向きになればなるほど、母は遠くなった。

物心ついたわたしにとって母はすぐそばにいても、遠い遠い存在だった。
怖かったな。
母には温度がなくて。
友達のお母さんたちみたいな、あったかさがなくて。
冷たくないけど、あったかくもない。
不思議でやるせない気持ち。
両親を信頼できない子どもだった。

そんなわたしが、
母をハグしたり、
頬を額を摺り寄せて、
お互いの存在を感じあう現在。
母の温度を感じる。
あたたかくやわらかい母。

ねぇお母さん、大好きだよ!
わたしをこの世に産んでくれてありがとう。
ねぇお母さん、わたしのこと好き?
ありがとう、頷いてくれて!

生きてる。
そういうことなんだね。