正面に見る
桜島は
さすがに圧巻！
遮るものは
前に広がる
海だけで
曇り空で
グレーに見える
桜島の
左の手を
目いっぱい伸ばした
先には
鹿児島市の
市街地が
見える
「毎朝、主人とここで
コーヒー飲みながら
桜島見るのよ」
机には
双眼鏡と御主人の
写真があった
高校卒業して
間もなく
許嫁だった
ロスの御主人の許に
嫁いで行った
彼女は
おしゃべりの
中に時々
英語が混じる
ノーは
“ん～～ノ”
と聞こえて可愛い
当時は、下級生の
男子達が
それは、それは
騒いでいて
「マドンナだったよね〜」
と言ったら
「え、知らなかった！」
と……
こんな
彼女の結婚生活は
きっと
映画のように
一途で
幸せだったことだろう、
と 
アメリカと比べたら
それは……
箱庭サイズ？
だろうが
２〜３時間の
道のりなら、迷わず
歩いてしまう彼女が
９月早々
２０日間も一人旅を
すると聞いても
驚かない、
多分、
何十年ぶりかで
住む日本の
どこへ行っても
彼女にとっては
もう……
日本がまるごと
故郷に
なってて、しかも
安心安全サイズ？
島国の
そのまた
南の端っこだけが
故郷の
自分には想像できない
気持ちだ
初めて分った、
なるほど
９月の二十日間
箱庭一人旅が
終わったら
次は
アラスカへ
続けて２度も
行くと聞いて
「同じコース？え、なんで？」
「同じでも楽しいのよ〜」
「ですか……」
秘かに……興味の尽きない
彼女です
面白い。