一週間ほど前に、 | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

叔父の五十日祭がありました、


 長患いの末、十一月の始めに 、


 旅立っていった叔父の


  その時の顔は、


 ほんとうに 安らかで、


生前、苦しみ続ける姿を、ずっと見ながら、


 長い看護を、引き受けてきた、


家族の心を


  ねぎらい、慰めて くれるものでした、



葬儀の翌日、ヘミシンクの最後に、


  叔父が現れました、


 家の近くにある公園らしい、


  ベンチにぽつんと腰かけて、


 放心したように、じっと前を見つめています、


  毛糸の帽子をかむり、


  薄茶の上着を着て、


 両手を重ねた 膝の横には、


  杖がありました、



ぼ~っと、一点を見つめているような、


 叔父の顔は、


  突然、ベッドから抜け出し、公園のベンチにすわっている


 自分の状況に、


  戸惑っていたのか、


それとも、


  楽になった肺で、久しぶりに、戸外の空気を、


 思いっきり 吸えたことに、驚き、


 喜んでいたのか、



それから、数日が過ぎ、


 二度目に、また 現れた叔父は、


  見違えるほど、若くなっていました、


 髪は黒々と、表情も若やいで、


  赤い毛糸のベストに、白いシャツ姿の叔父は、


 きれいな歯を見せて、


  ほんとに嬉しそうに、笑っています、



その周りを、十人くらいの人の手が、取り囲んで、


  歓迎するように、


 叔父の肩や 背中を、パタパタと、


  たたいているのです!


その、あまりの歓迎ぶりに、


  叔父は、笑い転げながら


   身体をよじって、


  パタパタ攻撃を、かわそうとしてます、



一瞬、叔父の、笑い声が聞こえたような気がしました、


  その瞬間、


 ああ、今、おじさんはいったんだなぁ~、


  と、わかりました、



姿を見せてくれた、二度の出来事を、


 叔母と、従妹に、


どんな風に、説明しようか・・・と、



 結局は、


見えたままを、ありのままに伝えると、



 赤いチョッキは、


一人娘の従妹が、叔父の還暦のお祝いに、


 贈ったものだったそうで、


それはそれは、喜んで、


 一度も手を通さず、大事にしまってあったモノだとか、



薄茶の上着も、毛糸の帽子も、


 よく、身に着けていたもので、



杖も、欠かせなくなってて、


 玄関の、上がり框に いつも置いてあったと、



見えたものが、ほんとにそうだった、とわかった事に、


 なぜか、とても感動しました、


特に、赤いチョッキは、派手好きでもない叔父が


 とても、着そうにないモノだったので、


気になってましたが、


 還暦の赤だったとは!



「 おじさんは、一度も着なかった チョッキを着て、


 いったなんてね・・・・


 ナオちゃんに、ありがとう!、って言ってるんだと思うよ、


 それと、


 チョッキ着てることで、ナオちゃんの傍にいつもいるよ、


 と言ってるような気もする 」


と、従妹に伝えました。





   つづく