あれ、・・・・・だれも、だぁれも座ってない・・・
どうして、
もう一回、目を凝らす、アタマの中にある目を、
やっぱり、だぁれもいない・・・・・ベンチは見えるのだけど、
空のベンチだ、
「その人は、男性ですか?、女性ですか? 」
・・・・さぁ~・・・・居ないし・・・
「その人の、足元を見てください、 よ~く 」
・・・・・・・・・・・・・
「 今度は、手を見てください 」
・・・・あ、・・・手だ、手が見えた!、 女性?
小さくて華奢な女性の手が見えた、重ねている、・・・・・
消えた、
そのあとも、手、以外のものは現れず、ベンチは無人のまま、
終わりになった。
身体を起して、横のイモトを見ると、
う~んん、と何か考え込んで、
“どうだった?” という風に目くばせしても、何も言わない、
という事は・・・・見えたのかい?、なにか、
見えてなければ、
ひと言、「ハハハ、スカ!」 なんて言う子だから、
これは正に、見えたという事にちがいない。
セッションが始まる、
まるの日さんが、聞く前に、
「 会えませんでした、ガイド、 なんか手だけ見えたような気はしたんですけど・・・・
だれの手でしょう・・・・残念 」 と言うと、
「 いや、大丈夫ですよ、ちゃんと居ますよ、後ろに 」 と、
「 ほお~~・・・・、うしろに?、ほんとに?」
「 ええ、今も、ほら 」
「そうなの!」 と、肩ごしに顔だけ後ろに向けてみる、チラっと、
なんにも感じない、
「 どんな人ですか?」 と、
今度は小声で、なぜ?、 ( うしろの方に聞こえないようにですよ)
「 男性です、 黒いふく着た 」
「 え、黒い服、ですか!」
黒いふく、というのが妙に気になったんですが・・・・・
イモトは、予想通りでした、バッチリ知覚してました。
もう、拍手ものです、
「 着物きた女の人が見えた、30~40くらいかな~、すごい綺麗なひと、
長い黒っぽい羽織着て、二つ折りにしたショールを膝においてて、
手をこんなふうに重ねてましたよ、う~ん」
「 そうですね、ちゃんと見えてますね 」 と、まるの日さんも、
「 おお、すごいじゃないの!・・・・でさ、なんで、
私の方は、見せてくれないんでしょうね?」
「 ・・・・・そうなんですよね、確かにおられますよ、 でも、どうして後ろから出てこないのかな」
「ねぇ~・・・・・」
「 こんな、フードみたいなのが付いた、長~い黒い服が見えるんですけどね~」
「 えっ、 ひょっとして、その方、濃い~顔してません?、髪も黒くて、 外国の方でしょ!」
「そうです、黒い髪、オールバックですよ、 どこかな・・・・、ローマ?だったかな」
「 あ、やっぱり!」
その時、はっきり思い出していたのは、
ワークが始まり、目をつむったらすぐに、アタマの中に浮かんできた、シーン、
この家に着いた時の、あの場面、
庭に入ったら、ウッドデッキが見えて、そこになぜか、
黒っぽい服の、髪を後ろに流した男性の姿が、あったこと、
あれっ、と、思ったのだけど
CDの音が聞こえてきて、そのままワークに集中していったはず、
「 その人ですね~! 」
「 そうですよ、見えてましたね、ちゃんと」 と、
嬉しかった~、合格のハンコ、もらったような気持ち、
ベンチに座ってなかったのは、
あの時私が、どっちに座るのかな、などと迷ったからでしょう、
で、遠慮深~い、心優しいその方は、着物の女性に席を譲り!
そのかわり、早めにちゃんと、姿を見せて下さってた!、と、
なんて、心配りの届いたガイドさんでいらっしゃることか、
まるで、わたしみたい!・・・・?
・・・・・じゃ、あの手は?
そうか、その女性の手を見てたんですね、私も、イモトといっしょに、
これも不思議!
「 じゃ、今度は、そのガイドさんと、更に交流を深める、というのをやりましょう 」
ここまできたら、もうワクワク、ウキウキですよ、
どんな、どんな、という感じで二人、また目をつむります。
つづく、