薄曇りの山並みを眺めながら山の稜線を独り歩く。

今日は養蜂用の木箱を背負子に担いで山深い森へ向かった。

 

 

わが家は砂糖を極力食べない方針だ。

パンやお菓子を甘くしたいときは甘酒を入れたり干し葡萄やクルミを入れたりという工夫をするけど、うんと甘いものを食べたいときはハチミツを使う。わが家ではハチミツを大いに信頼している。よく驚かれるのは、ハチミツで歯を磨くということ。抗菌作用が強いので、朝方に口が臭うということがない。かのエジプトのファラオたちもそういう使い方をしていたらしいというとちょっと信憑性がえられるかな。(でも、ハチミツは刺激の強い食べ物なので、頻繁に口に入れていると飽きて食べたくなくなるので、歯磨きに毎日使うということはないけれど)

とにかく、高価なハチミツをたーくさん自給することは幸せなことだ、という想いで養蜂用の木箱を作ってみた。

 

野生種であるニホンミツバチに巣箱を気にいって入居してもらい、家賃として蜜を頂戴するわけだが、これがそんなに簡単なことではない。自然豊かな場所ほど養蜂に適しているとイメージしがちだが、木のウロなど、ミツバチが気に入る場所が多い分、より条件の良い住処でないと選んでもらえない。むしろ、街中の方が自然の住処という選択肢がない分、簡単に養蜂箱に入るものらしい。日当たり、風のあたり具合、湿気、キレイな水の有無、外敵の存在、蜜源の有無、騒音など、ミツバチの物件評価規準はなかなか複雑だ。

 

僕としては、ブナやミズナラの巨木がひしめく森でハチミツを採ってみたいという夢がある。

麓の集落から遠く離れた山の深く、標高1400mに位置する古い森。おそらくここにもニホンミツバチがひっそり暮らしているはず。木箱を背負って、ミツバチになった気分で心地のいい場所を探してみる。朝日の当たる東向きの斜面、谷風が吹いて湿り気のない、眺めのいい場所。おそらく樹齢200年くらいのミズナラの大木の下。あたりにはトチノキ、ホオノキ、ブナ、イタヤカエデの大木が並んでいて蜜源は豊富だ。僕がミツバチならこの物件を選ぶんだけどなあ。

 

 

 

もしうまくいったら「深山蜜」とか名付けてみようかな!