「雪解けの枝と心の回復」

2023-12-27 08:18:10 | 大西好祐

「雪解けの枝と心の回復」

大雪が降った先日、庭の木々の枝は雪の重みに耐え切れず、地面に屈曲してしまった。その先端は雪に埋もれ、昨日までそこに静かに存在していた。しかし、昨夜からの雨がその雪を溶かし始め、枝はゆっくりと元の位置に戻り始めた。枝が完全に折れてしまったのではないかと心配していただけに、その回復には安堵した。自然の回復力には、いつもながら驚かされる。それを見て、ふと心が温かくなった。

この世の中で病気になる大きな原因の一つがストレスだと言われている。薬品会社の思惑が絡むと、人々は自然治癒力を忘れがちになる。それは、いわば、雪に覆われた枝のようなものだ。

そんなことを考えていると、ふと子供の頃の記憶が蘇る。森の中で過ごしたあの日々は、自然との一体感を教えてくれた。木々の間を駆け抜け、太陽の光が葉の隙間からこぼれる様子を見上げるのが好きだった。その時の僕には、薬など必要なかった。ただそこにいるだけで、心が癒されていった。

大人になった今、ビルの間を歩きながら、あの頃の自分を思い出すことがある。スマートフォンの画面に映る世界とは異なる、もっと大切な何かを、あの時は知っていた。枝が雪から解放されたように、自分の心もまた、自然の中で解放されるのだと実感する。

雨の音を聴きながら、昔読んだ本の一節を思い出す。「自然は最高の医師である」という言葉。その言葉を胸に、また新たな一日を迎える。きっと世界は、いつもとは違う色で見えるだろう。そしてそこには、本当の自分がいる。