7月1日はPL法の施行日。PL保険の更新時に確認してほしい「輸入販売リスク」


はじめまして。


私は主に法人向けの損害保険の販売・メンテナンスに携わり、気がつけば20年ほどこの業界に身を置いてきました。


その中で、法人保険の現場には「これは本当に大丈夫なのか」と思うような契約や説明が、少なからず存在することを見てきました。


このブログでは、そうした実務上の違和感や、保険担当者の方に知っておいていただきたいポイントを、できるだけわかりやすく発信していきたいと思っています。


なお、私は法人保険を主に担当してきたため、個人向けの生命保険や医療保険などについては、専門外とは言わないまでも、得意分野ではありません。


このブログでは、主に法人向け損害保険を中心に扱っていきます。


さて、7月1日は何の日でしょうか。


記念日かどうかはさておき、保険実務の観点でいうと、7月1日は製造物責任法、いわゆるPL法が施行された日です。


そのため、7月1日を始期としてPL保険を更新している会社も多いのではないでしょうか。


総務部、経理部、管理部などで法人保険を担当されている方の中には、毎年なんとなく、


「前年と同じ内容でお願いします」


と保険代理店や保険会社とやり取りしている方もいるかもしれません。


ですが、PL保険については、一度立ち止まって確認していただきたいポイントがあります。


それが、輸入販売に関するリスクの取り方です。


PL保険とは、製造物の欠陥によって人の生命、身体または財産に損害が生じた場合に、事業者が負う損害賠償責任を補償する保険です。


ここで重要なのが、PL法における「製造業者等」の範囲です。


製造物責任法では、製造業者等について、製造物を業として製造、加工または輸入した者などを対象としています。


つまり、単に海外製品を仕入れて国内で販売しているだけのように見える会社であっても、輸入者である以上、PL法上は製造業者等として責任を負う立場になり得るということです。


ここが、実務上かなり危ないところです。


「うちは製造していない。輸入して販売しているだけだから、販売業のリスクでいいですよね」


という整理をしている契約を、私はこれまで何度も見てきました。


しかし、PL法上、輸入業者は単なる販売業者とは扱いが異なります。


国内市場に製品を流通させた者として、製造業者等に含まれる可能性があるためです。


したがって、輸入販売を行っている会社のPL保険を設計する場合、単なる販売リスクとして処理するのではなく、少なくとも輸入者としてのPLリスクをきちんと確認する必要があります。


もちろん、保険会社や商品によってリスク区分の名称や引受方法は異なります。


ただし、「輸入販売だから販売業でいい」という雑な整理は、かなり危険です。


では、実際に事故が起きた場合はどうなるでしょうか。


以前であれば、多少あいまいな契約内容でも、現場判断でなんとなく保険金が支払われていたケースもあったかもしれません。


しかし、近年は保険金支払いに対するチェックも厳しくなっています。


ビッグモーター問題以降、保険業界全体として、従来のような“なあなあ”の運用は通りにくくなっていると感じます。


保険料を安くするために、実態と合わない業種区分やリスク区分を選んでいた。


あるいは、保険代理店に任せきりで、自社の事業内容が正しく保険契約に反映されていなかった。


そのような状態で大きな事故が起きた場合、いざという時に補償をめぐって大きな問題になる可能性があります。


法人保険は、加入して終わりではありません。


特にPL保険は、


「何を作っているのか」

「何を販売しているのか」

「輸入しているのか」

「自社ブランドを付けているのか」

「どの国・地域に流通しているのか」


といった事業実態によって、見るべきリスクが大きく変わります。


毎年の更新時に、前年同条件で済ませるのは簡単です。


しかし、保険は事故が起きて初めて、その設計の正しさが問われます。


7月1日にPL保険の更新を迎える会社は、ぜひ一度、自社の契約内容を確認してみてください。


そして、保険代理店や保険会社に、こう聞いてみてください。


「当社は輸入販売をしていますが、この契約では輸入者としてのPLリスクは正しく反映されていますか?」


この一言だけでも、契約内容の見え方はかなり変わるはずです。


保険担当者の方にお伝えしたいのは、保険屋さんを信用してはいけない、という話ではありません。


ただし、任せきりにしてはいけない、ということです。


法人保険、とくにPL保険は、会社を守るためのものです。


だからこそ、保険会社や代理店の説明を鵜呑みにせず、自社の実態に合った補償になっているかを、今一度確認していただきたいと思います。