WBCでラーズ・ヌートバーという選手がいた。正直、最初は日本ではあまり知られておらず、「なぜ日本のプロ野球選手ではないのか」という声もあった。しかし大会が始まると、その評価は一変する。


 理由はシンプルだ。全力疾走、全力プレー、そして一球に懸ける姿勢。ヒットでも凡打でも関係ない。常に一塁まで全力で走る。守備では一歩目を怠らず、仲間のために声を出し続ける。その姿が、自然と周りの心を動かしていった。


 気づけば、最初は知らなかった人たちが「ヌートバー、頑張れ」と応援するようになっていた。人は、うまい選手に心を動かされるのではない。全力でやる選手に心を動かされる。そこに打算はない。「勝つためにやっている」のではなく、「当たり前に全力でやっている」からこそ、人の心に響く。


 もちろん、大谷翔平をはじめとする選手たちの活躍があってこその世界一だ。しかし、その中でチームの空気を変え、流れを引き寄せたのは、間違いなくヌートバーの存在だった。


 これは高校野球でも同じだ。試合に出ているかどうかは関係ない。ベンチでも、スタンドでも、グラウンドでも、全力でやっているか。走る姿、声の大きさ、準備の速さ、道具の扱い方。そういう一つ一つが、人から応援されるかどうかを決める。


 そして覚えておいてほしい。応援される人には力が集まる。仲間の力、流れ、運。そのすべてが背中を押してくれる。だから、最後の一歩が出る。最後の一本が出る。


 誰もが応援したくなる選手は、必ず結果を残す。だからこそ、今日も全力疾走だ。見ていないところでも、当たり前に全力を出し続ける。その積み重ねが、未来の結果をつくる。