人は、自分のためだけにはなかなか頑張れないものです。しかし、大切な人のためとなると、人は驚くほどの力を発揮します。戦後、大陸からの引き揚げの中で、重い荷物を背負い、子どもの手を引き、食べるものもないまま長い道のりを歩いて帰国した人たちがいました。もし自分一人だけだったら、途中で諦めてしまったかもしれません。しかし「家族を守らなければならない」という思いが、人に底力を与えたのです。
これは野球でも同じです。自分のためだけに頑張ろうとしていると、苦しい練習や厳しい場面で心が折れてしまうことがあります。しかし、チームの仲間のため、応援してくれる家族のため、支えてくれている人たちのためと思えたとき、人はもう一歩踏ん張ることができます。人間の力の源は「愛」です。自分を支えてくれる人を大切に思い、その人たちを喜ばせたいという気持ちがあると、人は苦しさを乗り越えることができます。きつい練習のとき、試合で苦しい場面のときこそ、大切な人の顔を思い浮かべてみてください。その瞬間、もう一歩前へ進む力が生まれます。また、人は感謝の心を持つことで心が安定します。感謝は、心を前向きに切り替えるスイッチのようなものです。野球ができること、仲間がいること、支えてくれる人がいること。それを当たり前と思わず「ありがたい」と思える人は、苦しい時でも強くいられます。
さらに、人を嫌うことは自分の心を苦しくします。チームの中でも、合わない仲間がいるかもしれません。しかし相手の良いところを探し、尊重することができれば、チームは強くなります。仲間を大切にすることが、自分の心を強くすることにもつながります。どうしても苦しいと感じるときは、自分よりも大きな苦労をしている人の存在を思い出してください。世の中には、もっと厳しい環境の中で必死に生きている人がたくさんいます。そう考えると、自分の苦しみの見方も変わってきます。
苦しさの多くは、心の持ち方で変わります。仲間のため、応援してくれる人のために努力し、日々に感謝し、人を大切にする。その生き方ができたとき、人は本当の意味で強くなります。そして振り返ったとき、「あの苦しみもたいしたことではなかった」と思える日が必ず来るのです。