入院してから左足首が動かず、ある程度動かさないと固まってしまうと聞いている。
人間の体って不思議だね。
ここ数年、忘れられない事がある。
というより、思い出さない日が無い事がある。
関節が動かなくなると聞いて、更に余計考える事が。
それは、実家のお向かいに住んでいる家族の事。
おじさん、おばさん、私より4つ上のお兄ちゃん、私より1つ上の妹の4人家族。
妹とは子供の頃によく遊んでた。
おじさんは植木職人を引退して、庭の植木や畑をするのが趣味で、しょっちゅう家の外にいるから、私が出掛ける時なんかも
おじさん おはよー!◯◯ちゃん!行ってらっしゃい!
って、耳が遠いからバカでかい声でニッコニコで挨拶してくれる。
うちの庭の植木も、昔からそのおじさんが手入れをしてくれていて、うちを留守にしてる時でも勝手に庭に入って植木の手入れをしてくれて、帰宅したらすっかり綺麗にしてくれてたなんて事もしょっちゅうだった。
畑で採れた野菜は、いつも沢山持ってきてくれて、うちの母も、今日の夕飯はおじさんが育てた野菜だよー!って喜んでいた。
ある時、そのおじさんが脳梗塞で倒れた。
自宅で倒れたからすぐに救急車を呼んで、一命は取り留めたが、退院してからはあまり外に出なくなってしまった。
そして数年後に亡くなってしまった。
おじさんがやっていた畑をお兄ちゃんが継いで、採れた野菜はおじさんの時と同じくうちに分けてくれた。
その数年後に、今度はおばさんが心臓の病気で手術して入院した。
退院してからの通院は、お兄ちゃんが送り迎えして、買い物なんかも毎週連れて行ってあげてた。
お兄ちゃんは独身で実家に住んでるから、何かとおばさんの手助けをしてあげていた。
お兄ちゃん優しいねー!
って、我が家でのお兄ちゃん株はウナギ登り!
ところが2年ほど前のある日、お兄ちゃんが脳梗塞で倒れた。
前々から健康診断で血圧が高く再検査になっていたのだが、無視をし続けていたらしい。
一命は取り留めたが意識が戻らない。
点滴だけではみるみる痩せて行き、何度も頭の手術をしたその姿は妹曰く、お兄ちゃんじゃないみたい。
体を動かさないから関節が硬直しちゃって、手は握ったまま硬くなっているのをほぐしてあげたりしないといけないらしい。
おばさんは、私が代わってあげたい。
と、母の前で大泣きしていた。
倒れてから1年半が経った頃、妹が退社の手続きを済ませて退社。
家庭もある妹だが、毎週末には実家へ行って泊まり、週明けに帰るというのをずっと繰り返している。
おばさんが一人じゃ可哀想だし心配だからって。
妹もなんて優しいんだ。
なかなかできる事じゃないし、妹のダンナさんも理解のある人だ。
お向かいの家族は全員優しいんだね。
なのになんで、神様はそんなあたたかい家族に試練を与えるんだろう。
おばさんの為にも、早く意識戻さなきゃ!
寝てる場合じゃないぞ!
みんな待ってるんだからね!
いつか、近い将来、意識が戻ってまた元気なお兄ちゃんを見る事ができるように、みんなが願ってる。