Mr.ノーバディ

評価:4.0

ジャンル:アクション/スリラー

制作年:2021

制作国:アメリカ

上映時間:92分

監督:イリヤ・ナイシュラー

主演:ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、RZA、アレクセイ・セレブリャコフ、クリストファー・ロイド、マイケル・アイアンサイド

あらすじ

 仕事では過小評価され、家庭ではリスペクト出来ない父親として扱われる地味で平凡な男、ハッチ・マンセル。ある夜、自宅に2人の強盗が押し入るが、彼は反撃することが出来ず、家族から失望されてしまう。胸の中に溜まっていた怒りをふつふつと湧き上がらせたハッチは路線バスで遭遇したチンピラたちの挑発に乗り、鬱憤を爆発させてしまう。やがてそれをきっかけにロシアンマフィアから命を狙われる事となる。


 レビュー的な見どころ

①アクションは安心のデヴィッド・リーチ

制作に元スタントマン、現映画監督のデヴィッド・リーチが関わっていて、アクションシーンはもはや言う事がない程、エンタメとして洗練されており、最早、至高の領域に近いと言えるレベルに仕上がっている。


②ハッチ・マンセルは俺たちオッサンの希望

 今作の主人公ハッチ・マンセルは元軍人で会計士という異色の経歴ではあるのだが、基本的には工場勤務で家庭のある言い方は悪いが、普通のそこらのオッサンなので、戦えば勿論、生傷を負う。もしかしたら負けるんじゃないかというギリギリの状況はハラハラするし、やはり見ていて面白いものである。超人的な殺しのスキルを持つジョン・ウィックイコライザーのマッコールさんの様なスマートな強さはないが、それがこの映画をつまらなくする要因には全くなっておらず、むしろこっちの方が親近感が湧いて面白く見れた。ジョン・ウィックには逆立ちしたって成れないけど、ハッチ・マンセルなら努力すれば成れそうな感じもいい。グッドだ。ちなみにハッチ・マンセルを演じるボブ・オデンカークは今作が初アクションということもあり中々のハマり役である。


↓序盤の山場となる路線バスでのチンピラ集団との戦闘シーンでの一枚。ちなみにこの路線バスはハッチ・マンセルが勤める金型工場へ向かうために通勤で使っているバスだ。このシーンでの戦闘中にハッチは数発殴られるわ、後ろからナイフで刺されるわ、窓から放り投げられるわ、散々な目に合うが、"これから全員ブチのめす"と予告した通りにしっかり全員ブチのめしてしまう。地味なオッサンなのだが、不思議と応援したくなるそんな魅力のある男それがハッチ・マンセルなのではなかろうか。

※ちなみにハッチさん後半で実は殺しもやっていたことが発覚するが、軍を退役し家庭を持って月日が経っていることから、完全に体が鈍っていることが映像から伺えた。


③クリストファー・ロイドがショットガンジジイに!

今作でクリストファー・ロイドが演じるのはハッチ・マンセルの父親デイビッド・マンセルなのだが、この役が中々のハジケっぷりでデイビッド・マンセルは元軍人のジジイで老人ホームでのんびり余生を過ごしているワケだが、一度敵に襲われると豹変しショットガンを豪快にぶっ放すショットガンジジイとなる。これが痛快でこのジジイでスピンオフ映画を一作作れるレベルで魅力溢れるイケジジイになっていた。


↓老人ホームでのジジイ、呑気に西部劇を楽しんでいるシーンだ。この後、ロシアンマフィアに襲われてこの姿勢からショットガン撃っちゃいます。ちなみにクリストファー・ロイドは現在85歳、撮影時はおそらく82か81だ。バック・トゥ・ザ・フューチャーでドクを演じたジジイと言えばこの人。少子高齢化の今、やはり必要なのはこんなジジイなのではなかろうか。ちなみに続編にも出演することが決まっているぞ。


④ロシアンマフィアとのラストバトルはホームアローンオマージュ満載。

どういうことかと言うと、バスでの一件でハッチがブチのめしたチンピラの中に実はロシアンマフィアの弟がいたという事が後でわかり、ハッチは命を狙われることになるのだが、家族も守らなくてはならないため、家族を遠方へ逃した後、作戦として何と勤め先の金型工場を大量の金塊で会社ごと、買い取り、会社の社員を全員追い出した後、そこにロシアンマフィアを引きつけて、一網打尽にしてしまおうとするのだが、例えば階段にボールペンを仕掛けてカチッと踏んだら爆発したり、万力に手榴弾を挟ませて、爆破させたりと金型工場の工具を工夫して用意周到に罠を張り巡らせているワケだ。ホームアローンのケビン君が泥棒3人組に仕掛けた罠の殺傷能力をより向上させるとこうなるであろうオマージュといえる演出は見事な出来なのではなかろうか。


↓ラストバトルでの3人、真ん中のハッチに加勢する2人だが、一番左はハッチの異母兄弟で黒人ハーフのハリー・マンセルだ!演じているのRZAで、余談だがこの人伝説のラッパーグループウータン・クランのリーダーも務めているのだ!つまり激アツなのだ。一番右には上記で紹介したショットガンジジイことデイビッド・マンセル。いやー天丼やわほんと、激アツ映画ですね。


 最後に

続編の公開が2025年8月15日全米公開予定でこれに備えて今見ておくのがベストなのではなかろうか。それでは挨拶しましょうかね、いつもブログを見て、読んでくれてアリが十匹でぇーありがとー!フォロー、コメントお待ちしております。