先日、かれこれ30年の付き合いの友達から、ショートメールがきた。
現在67歳の彼女とは、当時ブームだったジャズダンスの先生と生徒としての出会いだった。スレンダーでスタイルの良い美人で、ソバージュのロングヘアーを黒いコートと共に後ろへなびかせ、箒を自転車に変えて鎌倉の街を疾走する魔女のような、格好良さだった。
当時、彼女は新橋の日本料理屋に勤めていて、レッスン後鎌倉から横須賀線に、一緒に乗った。私は品川でおり、彼女は新橋まで、午後三時半ころだったろうか…。
今でも、忘れられずに深く残っていることは、当時の私としては衝撃的な事だった。
大船あたりから、彼女は大きなバッグの口を最大に広げて、中から箱に入ったままの、瓶入りの化粧品を基礎から塗り始めるのだ!
今でこそ、若い子はもちろん何を血迷ったか50代とも見える女性迄が電車のなかで平気で化粧をするが、当時としては、そんな女性は普通ではない!
そんな時代!
案の定、社内の人からは白い目でみられ、はたまたコソコソ悪口も聞こえるほと…。勿論隣の私はビックリかたまった!化粧が終わる頃、白い紙を取り出してびっしり書いてあることを読む。それは、日本料理の細かい事の勉強だった。先生である私を隣においたまま、自由なこと。私ひとりが人の目線にさらされる感じ?
そして、私が品川で降りたあと、ソバージュのロングヘアーはくるくると、首の後ろにシニョンとしてまとめられるそうだ。どの駅でどこ迄やるか、決まっているのだ。実に無駄が無い!
何で電車の中で、やるの?と聞いたら、彼女は、「先生、私は真剣に働いていて、家ではギリギリ迄寝ていたいの。レッスンで汗かくし、無駄な時間は持ちたく無いの!」
小気味良かった!!プロであった!
そんな、彼女はそれから日本料理のホールのプロとして、海外のホテル迄こなし、帰国しても、家族を背負ってはたらき続け、飲食の最後は代官山の中華料理店に移り10年位マネージャーとして働いた。
さて、ここからが本題なのだが、
メールの内容は、「今月の婦人公論の吉本ばななさんのページ読んで」というものだった。
それは、ばななさんが、子連れで通った店のこと。『その店には、できるおばさんが二人いて、子連れの彼女に対しての心使いに救われたこと。いつしか、その店はできる叔母さん達を排除し、男性ばかりの店にかわり、全く変わってしまったこと。』などが書かれていた…。私も彼女がいるから、良く通い、彼女を良く知るだけに、
泣けた…。
彼女に、すぐメールした。
良かったね!ばななさんには全ての名前を出してほしい位だったな。
一生懸命やったことは、
どこかで誰かが みていてくれる。
どこかで誰かが喜んでくれている。
という事だと、私までうれしくなつた。彼女がやめてもう何年も経ってのことだし。彼女は現在は全く関係無い仕事をしている。
ただ、本来なら仕事など無い年齢!
ただ彼女は仕事には恵まれている。
必ず、仕事が与えられる。
今日も、やせ細った身体で、立派に仕事をしてる。根性の人である。
そして、今も、美しい!
実に素敵な、先輩だけど、長い仲良しである。
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