◯詩
足を手術した
部分麻酔の
軽いものだったはずなのに
死と痛みの
その細い境目に
私は 立ち尽くしている
深く息をすれば 生のほうへ
目を閉じれば 死のほうへ
だけど どちらにも傾かず
ただ この一歩手前で
感じている
言葉よりも深く
沈黙よりも確かに
私の内側で 何かが灯っている
◯余韻ノート:
私たちは、ときに
「ただ、ここにいる」ということの意味を
あらためて感じる瞬間に出会います。
それは、激しい体験ではなく、
むしろ、微かで、名前もないような痛み。
境目に立つ感覚。
生と死のあいだ、静かに揺れる呼吸。
この詩に出てくる痛みは、
“苦しみ”というより“手応え”です。
読んだあなた自身の記憶や感覚の中に、
似たような境目が眠っていないでしょうか。
もしあれば、どうかその感覚を、
そっと抱きしめてあげてください。