My life is.... -303ページ目
走行状態を示す信号機が、
グリーンからレッドに変わった。

建屋の中にいた人達が、
にわかにざわめきたつ。

走行禁止となったサーキットで、
続々とピットに戻ってくる車両の中、
あの人の姿は見当たらない。


その日は、
職場の走行訓練と試験走行を兼ねたサーキット走行日。
いい機会だからと連れて行ってもらい、
もちろんあの人も参加しているのを知っていた。


走行禁止になるということは、
つまり、
どこかで事故が起きたということ。

さんざん待って、
一番最後に帰ってきたのは、
数千万もする車両に乗るあの人だった。

あの人自体の外傷は見当たらなかったけど、
車両は中破。


この日の路面はwet
あんなサイズのタイヤじゃ、
路面に溜まった水で、容易に滑ることは予想されるけれども、
車内でもトップクラスのテストドライバーだったあの人が… という
まさかの事態に、

いや、

想う人が事故をしている というその事実に、

嫌なドキドキが収まらなかった。


会社持ちのマイクロバスに帰りは乗らず、
個別で来たスタッフの乗用車に、
あの人と、そして私も同乗させてもらった。

何でこのとき、私も残っていたんだっけ。

寒い時期だったことを覚えてる。
日が落ちて暗い帰り道を、
セダンの後部座席、脱いだ上着を真ん中に置き、
その下で手をつないでいたのは……どっちから求めたんだったかな。

かける言葉も誰も見つからず、
終始静まりかえっていた車内で、

会社に着いたあと、
さて、私はどう動くべきかな…と
なぐさめたらいいのか、
抱きしめたらいいのか、
なかったかのように振る舞えばいいのか、

必死で考えていたのだけは覚えてる。