九州熊本地方に伝わる外装様式に、肥後拵があります。

とても個性的な刀装ですが、実用的かつ堅牢で、こんにちでも世界中に多くの愛好家がいるほどインパクトがあります。

その特徴を数え上げるとキリがありませんが(過去記事等をご参照ください)、茶道の美意識を内包しているという意味では、他の刀装とはまた違った造形美を有しており、見る度に心が惹かれます。

 

肥後拵やその系統の外装様式は、コジリ(漢字では鐺と書きますが、旧漢字のため以下「コジリ」)を「泥摺り」といい、通常は鉄製の泥摺りを用いることが掟とされています。

ちなみに肥後風の拵えは、時代を経るごとに意匠性を取り入れた外装が各地で派生し、数多く作られました。

そのため肥後拵風の刀装様式は大変広い解釈の上になりたっており、ご当地以外でも常差しとして多くの武士に親しまれてきました。

これだけ長く愛された外装様式も、他では見当たらないのではないか?と思うほどです。

 

さてさて、今回はそんな肥後拵風の外装に用いる泥摺りを、鉄刀木でこしらえてみました。
 

 

柾目肌が美しい!

 

水牛の角などで作るよりも強靭で、しかも木製の鞘と相性が良いことも、私が積極的に銘木を用いる理由なのですが、欠点もあって材料代が水牛に比べて高く、さらに水牛よりも硬いので加工が面倒!なのです。

ここまで削るのに、銅と同じぐらいの労力を要します。

次は、栗型の制作に移ります。あ~ヘトヘト。