新規でお作りしていた柄前が完成しました!

 

今年に入ってから、黒漆打刀拵ばかり作っています。一見、どれも同じに見えるかもしれませんが、作れば作るほど考えること・思うことがあり、今回も大変よい経験を頂くことが出来ました。

 

前回の投稿にありますように、今回は修復のお仕事ですが、ただの修復ではありません。

一般的な形状の柄前を諸反りの柄成に変えて、刀身のバランス・使用時の操作性、外装全体のバランスを加味しながら一から作り込みました。そのため、柄前だけで考えると全くの新規の工作になります。

 

前々回、前回そして今回の御刀は、ご依頼者様こそ別の方ですが、材料や色合い、工作技法にいたるまでほぼ同じ作り方です。柄糸の染色も同時に行なったため、光の反射感やさわり心地も同じです。ただし、刀身も外装の設計も使用者の好みも別ですので、カタチや大きさ、バランスはすべて違います。

 

とはいえ、私の中では黒漆拵三部作となっており、今回の修復で一連のシリーズ?工作が終了します。達成感もあり、若干の寂しさもありますが、まずは完成の喜びと納品前のお祓いの準備に入りたいと思います。