以前にも紹介しましたが、目貫を拵えに組む場合に事細かく掟(刀剣外装の難しい掟)が定められています。
目貫の向き(yahoo!ブログより)
手元に大変興味深い目貫があるので、ご紹介します。一緒に勉強しましょう!
というわけで、この目貫の表裏を当ててください。(ちなみに、桐箱は別物です。)
花の数は左右同じで花器に生けてあるため、茎や根から方向を判断することが出来ません。
この場合、花の活け方を見て判断するほかありません。
よくよく見ると花の構図が左右違うことがわかります。決定的な違いは花器周辺の表情です。
左の目貫には、花器のちかくに花が配されています。
右の目貫には、葉っぱしか見えません。
寸法を測ってみると、左の目貫が0.4mmほど大きく作られていました。(表目貫を若干大きく作る傾向があります。)
つまり、左の目貫が表、左が裏でした!ということで、左側の目貫を柄前の指し表に巻き込まなければなりません。
ところで、現存する時代拵を鑑賞していると、目貫(特に指し表)が絶妙な位置に配置され拵え全体を引き締めて躍動感を与えています。目貫通りという言葉が指し示すとおり、目貫の位置一つで拵えの雰囲気が垢抜けたり田舎っぽくなったりとガラッと変わってしまうわけですが、拵え全体のトータルバランスを考えてもっともすわりのよい場所に目貫を取り付けた江戸期の職方のセンスの良さに毎回脱帽してしまいます。
ですが、ひとたび使用面だけを考えてみると、とても使い難い場所に置かれていたりします。これは、当時の武士の手が小さかった?とも考えられますが、現代人の体格に合わせて外装を製作する場合に大変厄介な問題を引き起こします。特に写し拵えの場合に、配置の美しさを取るかはたまた使用感重視で行くか、打刀拵の表情に大きな影響がでてしまうため毎回悩みに悩むわけです。
現代人は、すでに現代人というフィルターを通して古美術品を見ています。別の時代に生きている以上仕方のないことなのですが、古作の再現を阻む大きな要因は私達自身にあるというお話でした。


